葵祭

葵祭（あおいまつり）

葵祭は、京都の賀茂御祖神社（下鴨神社）と賀茂別雷神社（上賀茂神社）で毎年5月15日（旧暦4月の酉の日）に行われる伝統的なお祭りです。この祭りは平安時代から続いており、国家的なイベントとして位置付けられていました。また、葵祭は、京都三大祭りの一つとしても知られています。

歴史と背景

葵祭は、元々は賀茂祭として知られていましたが、江戸時代に入ってから「葵祭」と呼ばれるようになりました。葵の葉で装飾される祭りは、1694年（元禄7年）に復興された際にその名を得ました。賀茂神社の神紋でもある二葉葵は、祭りの重要なシンボルです。さらに、祭りは明治時代以降、徳川家とも深い関わりがあり、家康の先祖も賀茂神社を崇敬していました。

葵祭の起源は、欽明天皇の時代に遡り、自然災害や五穀不足を鎮めるために執り行われました。867年（弘仁10年）には、祭りは朝廷の重要な恒例行事となり、その後も長い間続けられています。光源氏が『源氏物語』に見られるように、貴族たちが祭りを観賞し、その影響が文学にも表れています。

祭の内容

葵祭は、主に「前儀」「路頭の儀」「宮中の儀」から成り立っていますが、近年では宮中の儀は行われていません。5月3日には流鏑馬神事が執り行われ、世界に誇る伝統的な馬術の競技が行われます。流鏑馬は、射手が馬に乗り、高速で駆ける馬上から矢を的に射るという高度な技術が求められる神事で、古くからの風習が受け継がれています。

路頭の儀は、5月15日に実施され、牛車に乗った約200人の行列が京都御所から下鴨神社、そして上賀茂神社までの約8キロを processionします。斎王代を先頭に戴き、沿道にいる観衆もその美しい行列を楽しむことができます。この行列の中で、祭文を奏上する社頭の儀も行われ、その荘厳さは訪れた人々を魅了します。

斎王と斎王代

祭りの重要な存在となる斎王は、賀茂神社の神事に仕える皇女や女王のことで、1956年からは一般女性から選ばれる斎王代にその役割が引き継がれました。毎年選ばれた斎王代は、伝統的な装束をまとって儀式に参加し、清めの儀式を行います。この役割は、通常は裕福な家庭の令嬢が引き受けることになり、母や祖母が同じ役を果たした例も多く、名家の影響が伺えます。

現代の葵祭

葵祭は、現在でも多くの観光客が訪れ、その美しさと伝統を楽しんでいます。しかし、近年では新型コロナウイルスの影響で路頭の儀が中止されることもあり、祭りの在り方も変わりつつあります。また、1969年には初のテレビ中継も行われ、より多くの人々にその魅力が伝わるようになりました。

葵祭は、平安時代の文化を今に伝える貴重なイベントであると共に、地域の活性化にも寄与している祭典です。古の風情を残すこの祭りは、時代を超えて、今なお多くの人々に愛され続けています。

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