蒲生邸事件

蒲生邸事件

『蒲生邸事件』は、宮部みゆきによる日本の小説であり、テレビドラマやラジオドラマとしても製作されています。この作品は、推理小説の要素とSF的な時間旅行を舞台にした長編小説であり、1997年には第18回日本SF大賞を受賞しました。また、歴史の相対性や時間旅行者の苦悩を描いており、第116回直木賞の候補にも名を連ねました。

あらすじ

物語の主人公は、大学受験に失敗した高校生・尾崎孝史です。彼は、予備校受験のために上京し、宿泊したホテルで火災に遭遇します。この時、彼を助けたのは不気味な雰囲気を漂わせる中年男・平田でした。しかし、平田に連れられた避難先は、二・二六事件の真っ最中にある1936年の東京でした。旅先のホテルが立っていた場所に位置する、蒲生憲之陸軍予備役大将の館に身を寄せた孝史は、蒲生大将の自決という衝撃の瞬間に立ち会います。

彼の遺書には、「この国はいちど滅びるのだ」と記されており、当時の日本が第二次世界大戦へと向かっていく様を予言するかのようでした。孝史は現代に戻ることに失敗し、周囲の状況から事件の匂いを感じ取り、犯人探しを始めます。

書誌情報

本作品は、『サンデー毎日』に1994年5月から1995年6月まで連載され、1996年に毎日新聞社から単行本が出版されました。その後、新書版や文庫版も刊行されています。

登場人物

• - 尾崎孝史（おざきたかし）: 大学受験に失敗した高校生。火事から逃れる際に平田に助けられ、時間遡行を果たすが、平田を重体に追い込む。
• - 平田次郎（ひらたじろう）: 時間旅行の能力を持つ男。この能力が誕生したことで周囲からは疎まれ、歴史にまつわる複雑な背景を抱えています。
• - 向田ふき（むこうだ ふき）: 蒲生家に住み込みの女中。しっかり者で、孝史の面倒を見る役割を果たします。
• - 蒲生憲之（がもうのりゆき）: 陸軍予備役大将。自宅で自決したことが歴史的な出来事となり、彼の行動が物語に深く影響します。

テレビドラマとラジオドラマ

『蒲生邸事件』は、1998年にハイビジョンで製作されたテレビドラマが放送され、2000年にはNHK総合でも放送されました。また、1999年にはNHK-FMでラジオドラマとして全10回にわたり放送され、再放送も行われています。

この作品は、歴史を舞台にした大胆な時間旅行のストーリーと、登場人物たちの複雑な人間関係が巧みに絡み合う内容となっており、読者や視聴者に深い感動を呼び起こします。

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