蒼海郡

蒼海郡（そうかいぐん）は、紀元前128年に漢の武帝が朝鮮半島北部から満洲南部にかけて設置した植民地です。『漢書』武帝紀には蒼海郡、『漢書』食貨志には滄海郡と表記されています。

蒼海郡の設置は、漢の朝鮮半島への進出を促進する要因となり、紀元前108年に漢が衛氏朝鮮を滅ぼし、漢四郡を設置する背景となりました。蒼海郡は、漢四郡の一つである玄菟郡と深い関連があるとされています。

設置の経緯と廃止

衛氏朝鮮に服属していた薉（わい）の君主である南閭らが、衛氏朝鮮の衛右渠に反乱を起こし、28万人を率いて漢に投降したことがきっかけで、蒼海郡が設置されました。しかし、その2年後の紀元前126年には、公孫弘の建議により廃止されています。

短期間で廃止された理由としては、以下の点が考えられます。

維持費用の問題：広大な領域を統治するには、多大な費用がかかります。
統治の困難さ：現地の住民の反発や、治安の悪化などが考えられます。
* 政治的な判断：公孫弘の建議は、当時の政治情勢を反映したものと考えられます。

所在地

蒼海郡の正確な場所は、現在も特定されていません。しかし、現在の咸鏡南道や江原道など、日本海に面した地域であったと推定されています。

武田幸男は、蒼海郡の郡治を咸鏡南道の咸興または永興に比定しています。

蒼海郡の歴史的意義

蒼海郡は短期間で廃止されましたが、漢の朝鮮半島への進出を試みた最初の拠点であり、その後の漢四郡設置へと繋がる重要な一歩であったと言えます。その存在は、古代の東アジアにおける勢力関係を理解する上で、重要な意味を持っています。

蒼海郡に関する研究は、その場所の特定を含め、未だ多くの謎に包まれています。今後の研究によって、その実態がより明らかになることが期待されます。

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