君

君（きみ、クン）

「君」とは、主に東アジアの漢字文化圏の王朝で見られた君主の称号（君主号）、または皇族・王族、貴族（特に外戚・功臣）の称号を指します。

字源

「君」という漢字は、筆を持った手を象る象形文字の「尹」に、区別のための記号「口」を加えて作られた文字です。

君の称号

東アジアの漢字文化圏、特に中国や朝鮮の王朝において、「君」は皇族・王族、または功臣に対する称号として用いられました。中国の春秋戦国時代には、戦国四君の一人である孟嘗君が有名です。

中国における「君」

前漢以降、中国では男子の称号ではなく女子の称号として変遷し、拝領した土地の地名を取って「○○君」と呼ぶようになりました。多くは皇后の母を冊封する際に用いられました（例：舞陽君、宜城君）。また、皇族以外の女性の称号として使用されることもありました（例：漢の武帝の異父姉・修成君、権臣董卓の孫娘・董白）。この称号は、その後の王朝にも引き継がれましたが、清代には親王の庶女の称号となりました。

朝鮮半島における「君」

朝鮮半島では、檀君朝鮮のように君主号としても用いられました。また、国王の実父（大院君）、廃王、王族、功臣の封号としても多用されました。

日本における「君」

日本では、天皇が正式な君主号ですが、近世以降は江戸幕府を主宰する将軍が日本国大君という外交称号を使用しました。

臣との関係の変化

『春秋左氏伝』昭公13年の記述には、「臣一君二」（臣は1人だが、君主は2人）という言葉があり、臣は君と合わなければ、そこを去り、別の君主を求めるという意味が含まれています。日本戦国時代の武将、藤堂高虎は「七度主君を変えねば、武士とはいえぬ」という言葉を残しており、必ずしも一人の君主にのみ忠誠を誓う関係ではありませんでした。一方で、後漢の張任は「老臣は決して二君に仕えるつもりはない」という言葉を残しており、中世の『吾妻鏡』にも「忠臣二君に仕えずというが」という記述があります。近世では、儒学の影響から幕末には一君万民論も唱えられました。

脚注

きみ
称号
君主号
戦国四君
日本国大君
大院君
府院君
公主

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