蓑田胸喜

蓑田胸喜（みのだ むねき）

概要

蓑田胸喜（1894年1月26日 - 1946年1月30日）は、日本の右翼思想家であり、反共主義者として広く知られています。彼は熊本県出身で、慶應義塾大学や国士舘専門学校では教授として教鞭を執っていました。また、原理日本社の主宰や国際反共連盟の評議員としても活動し、政治的・思想的な発信を行いました。東京帝国大学文科大学宗教学科を卒業した後、彼は大学生活の中で国粋主義的な思想を深めていきました。

生い立ち

蓑田は熊本県八代郡吉野村で生まれ、八代中学校や第五高等学校を経て、東京帝国大学に進学しました。在学中には法科大学から文科大学の宗教学科に転学し、宗教学者の姉崎正治に学びました。卒業後、政治学科にも学士入学し、国粋主義的な活動に参加しました。

教育と活動

1922年、蓑田は慶應義塾大学予科で教授となりました。この期間に、論理学や心理学の授業を担当する傍ら、反ユダヤ主義者との議論や、マルクス主義・自由主義的知識人に対する批判を行いました。彼の授業は、国体明徴の考えに基づいた思想教育が中心で、学生たちに対して国家や天皇に対する忠誠心を植え付けようとしました。

右翼の理論家としての活動

1932年に国士舘専門学校の教授に就任後、大学における保守的な動きの一環として活動を強化しました。特に天皇機関説事件を契機に、日本における大学の自治や思想の自由を脅かす動きに対して理論的指導を行い、多くの知識人の追放や出版物の発禁を促しました。彼はまた、ナチス・ドイツに対して否定的な立場を取り、国内の共産主義的動きに強く反発しました。

晩年

戦局が厳しくなる中、蓑田は国士舘専門学校から退職し、健康を害した後、1944年に地元の吉野村に疎開しました。終戦後、自ら命を絶つ結果に至った彼の死は、多くの議論を呼び起こしました。彼は狂信的な右翼思想家と見なされ、しばしば「胸喜」という名を「狂気」ともじった批判の対象ともなりました。

評価と影響

蓑田胸喜の思想は、戦後長らく封印されましたが、近年になって再評価の動きが見られます。現代の論壇で彼の影響が注目され、複数の学者による研究や全集の出版が行われています。政治学者の植村和秀は、蓑田を昭和の思想を代表する人物の一人として位置付けており、彼の思想の再考は続いています。

著作と研究

蓑田は多くの著作を残しており、特に『精神科学叢書』や『学術維新』は彼の思想の核となる書籍として知られています。彼の著作は、当時の思想界における保守的な立場を反映しており、自由主義や社会主義に対する批判が根底に流れています。近年の研究でも、彼の幼少期から晩年にかけての思想的変遷が探求されており、その影響力は今もなお続いています。

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