原理日本社

原理日本社の概要

原理日本社（げんりにほんしゃ）は、戦前日本における右翼団体であり、特に昭和初期においてその影響力を発揮しました。元々は、1927年に慶應義塾大学内で発足した「慶應義塾精神科学研究会」と「人生と表現社」が起源となっています。この研究会は、右翼的な思想を基にした活動を行うことを目的としていました。本団体の責任者は文学部の教授、蓑田胸喜が務めました。

歴史的背景

原理日本社の活動は、総合研究と特殊研究の二つの側面から成り立っており、上野直昭の著作やヴィルヘルム・ヴントの書籍を教材として用いていました。当時、慶應義塾大学には「国防研究会」や「至誠会」といった他の右翼団体も存在しており、原理日本社はその中でも重要な役割を果たしました。特に、会員向けに配布された月刊機関誌『原理日本』は重要な情報源となりました。

1929年には、慶應義塾の研究会と共催して全国での講演活動を展開し、その活動は徐々に広がりを見せました。次第に、この団体はより精力的な活動を行うようになり、特に超国家主義を掲げることがその特徴となりました。

活動と影響力

昭和9年（1934年）には、『原理日本』の創刊号で会の正式な見解が発表され、複数の中心人物がその活動に関わりました。表立った人物の中には、三井甲之や松田福松、川合貞一などが含まれます。特に三井甲之は、「帝大赤化教授」排撃の声を上げ、昭和初期の学問や言論弾圧に積極的に関与しました。この活動の一環として、京大の瀧川幸辰が犠牲となる「滝川事件」も発生しました。

原理日本社は、天皇絶対論を唱える「皇道派」として知られる帝国陸軍の支持を受け、政治的な影響力を拡大しました。また、文部行政や大学自治においても、蓑田の思想が浸透し、蓑田やその関係者が排除される存在となる事態が見られました。

組織の変遷

幾度かの変遷を経た後、蓑田が慶應義塾大学を退職すると、川合貞一が会長へと就任し新たな活動を展開しましたが、大政翼賛会の発足により政治環境が変わり、次第に活動は衰退していきました。太平洋戦争が勃発すると、多くのメンバーが徴兵され、物資不足が続く中で『原理日本』の出版も次第に滞るようになりました。最終的に1944年に185号を最後に休刊となり、戦後は占領軍により解散させられ、関係者は公職追放の洗礼を受けることになりました。

結論

原理日本社の活動は、戦前の日本におこう右翼思想の顕在化を示す出来事であり、その影響は教育制度や社会全体に広がっていました。特に、大学における学問の自由の制限や言論弾圧の背景を理解する上で、原理日本社の存在は欠かせないものとなっています。そして、その運命は戦後の日本における新たな社会秩序の形成に直結する重要な要素でした。

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