蓮華峯寺

蓮華峯寺（れんげぶじ）

岐阜県関市洞戸高賀に位置する蓮華峯寺は、天台宗の寺院です。山号は西高賀山。

歴史

寺の始まりは、天徳3年（959年）に高賀神社に行基作と伝わる大日如来が納められたことによるとされています。現存する胎蔵界大日如来像は平安時代末期の作とされており、天治元年（1124年）銘を持つ観音菩薩像など、複数の平安時代の仏像が現在に伝えられています。

全盛期には七堂伽藍を備え、多くの子院を擁する大寺院でしたが、応安2年（1369年）の洪水で甚大な被害を受けました。鎌倉時代後期には、虚空蔵菩薩を崇拝する『高賀山信仰』が成立し、多くの修験者が訪れる聖地となりました。以来、多くの懸仏が奉納され、現在に伝えられています。蓮華峯寺は、高賀山信仰における中心的な社である高賀神社の別当寺として栄えました。

文明年間には、蓮華峯寺の坊院の一つとして大洞山金谷寺が建立されました。金谷寺は、室町時代末に蓮華峯寺が山津波で流亡した際、武儀郡乙狩（現在の岐阜県美濃市）に移転しています。永正14年（1517年）には火災により諸堂が焼失しましたが、その後再建されました。

江戸時代前期には、円空が当寺を度々訪れ、虚空蔵菩薩像や円空最後の仏像とされる歓喜天像を納めています。江戸時代中期に美濃西国三十三ヶ所が成立すると、当寺は二番札所となりました。

明治時代には、廃仏毀釈を避けるため、高賀神社境内から麓の観音堂へ諸仏像が移されました。その後、蓮華峯寺は無住となり仏像の管理が困難になったため盗難も発生。昭和48年（1973年）に仏像群が高賀神社の収蔵庫に移されました。円空作の仏像群は、平成7年（1995年）からは関市洞戸円空記念館に収蔵されています。

高賀山信仰に関わる仏像群や懸仏、法具などは、神仏習合の様相を現代に伝える貴重な資料として、岐阜県の文化財に指定されています。

脚注

参考文献

* 洞戸村『洞戸村史 上巻』p819　昭和63年

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