蓼沼謙一

蓼沼謙一について

蓼沼謙一（たでぬま けんいち）は、1923年10月26日に茨城県水戸市で生まれ、2011年10月28日に老衰のため88歳で亡くなった日本の法学者です。専門は労働法であり、一橋大学の名誉教授、第8代学長を務めました。また、日本労働法学会の代表理事など、数々の要職を歴任し、日本の労働法研究に大きな足跡を残しました。

学歴と軍歴

1940年、東京府立第四中学校（現東京都立戸山高等学校）を修了後、東京商科大学（現一橋大学）予科に入学。しかし、1943年に学徒出陣により海軍に入隊。飛行専修海軍予備学生として急降下爆撃機の操縦士となり、少尉、中尉と昇進。神風特別攻撃隊員にも選ばれましたが、終戦により復員しました。1945年10月に大学に復学し、1947年に東京商科大学商学部を卒業。その後、同大学大学院に進みました。

研究者としてのキャリア

大学院修了後、1952年に一橋大学法学部の専任講師となり、その後、助教授、教授へと昇進。1969年から1971年まで学生部長、1973年から1976年まで評議員、1974年から1976年まで法学部長を務めました。1977年には、学長の死去に伴い第8代一橋大学学長に就任し、1980年までその任を果たしました。

1987年に一橋大学を定年退官し、名誉教授の称号を受けました。その後は、八千代国際大学政治経済学部教授も務めました。

学会活動

研究活動と並行して、学会活動にも積極的に参加。1954年に青年法律家協会の設立発起人となり、1955年からは日本労働法学会の理事を長年務めました。また、日本労使関係研究協会理事、日本労働法学会代表理事なども歴任し、労働法研究の発展に貢献しました。

教育者として

蓼沼謙一は、研究者としての活動だけでなく、教育者としても多くの学生を指導しました。一橋大学では、労働法のゼミナールを担当し、盛誠吾、毛塚勝利、石井保雄、藤原稔弘といった多くの優秀な研究者を育てました。また、高萩光紀や石川公一など、経済界や行政分野で活躍する人材も輩出しました。

家族

実子には、経済学者で第17代一橋大学学長の蓼沼宏一や、ピアニストの蓼沼恵美子（第10代東京芸術大学学長澤和樹の妻）、同じくピアニストの蓼沼明美がいます。 蓼沼家は学術、芸術分野で活躍する人材を輩出しています。

著作

蓼沼謙一は、多数の著作を執筆しました。代表的なものとして、『労働法実務大系 11 労働時間・残業・交替制』や『蓼沼謙一著作集』などがあります。また、共著や翻訳にも携わり、日本の労働法研究の発展に貢献しました。

結論

蓼沼謙一は、日本の労働法研究において重要な役割を果たした人物です。研究者、教育者、学会のリーダーとして、多方面でその才能を発揮し、多くの人々に影響を与えました。彼の功績は、今日の日本の労働法研究の基礎となっています。

もう一度検索