蔚山倭城

蔚山倭城（ウルサンわじょう）

蔚山倭城（ウルサンわじょう）は、韓国の蔚山広域市中区に位置する日本式の城で、特に慶長の役の際に日本人によって築かれました。この城は、別名「甑城」や「島山城」とも呼ばれ、歴史的な背景を持つ重要な遺構です。

構造について

蔚山倭城は、約50メートルの高さの山の上に位置する山城で、その構造は非常に独特です。城の頂上には本丸があり、その周囲には二の丸や三の丸が配置されています。また、これらの内側には惣構と呼ばれる外郭が設けられており、蔚山地域自体は小高い山であるものの、その外郭は相当なスケールを誇っています。

歴史的文書『浅野家文書』に記録されている「蔚山之御城出来仕目録」によれば、本丸、二の丸、三の丸の石垣の総延長は776間2尺（約1.4キロメートル）に達し、城内には大小12の櫓が存在。さらに、塀の長さは351間2尺（約632メートル）、惣構塀は1430間（約2.6キロメートル）にも及びます。このことからも、蔚山倭城がいかに大規模であったかを伺うことができます。

歴史的背景

慶長2年（1597年）11月中旬、加藤清正が縄張りを開始し、毛利秀元や浅野幸長らのもとで急ピッチで城が築かれました。この工事は昼夜を問わず行われ、約40日後には完成間近となりました。しかし、同年12月22日、明と朝鮮の連合軍が約6万人の軍勢で城を包囲します。守将の浅野幸長と加藤清正らは未完成の城での籠城を強いられ、食料も不足する危機的な状況に陥りました。

封鎖から10日後、ついに毛利秀元や黒田長政が援軍として到着し、連合軍に対して大きな打撃を与えました。慶長3年（1598年）9月にも再度攻撃を受けたものの、攻防は続きました。しかし、豊臣秀吉の死去に伴い、同年11月には加藤清正らは蔚山倭城を撤退することとなりました。

現在の蔚山倭城

蔚山倭城跡は、1963年に大韓民国の史跡第9号に指定されましたが、1997年にこの指定は解除され、代わりに蔚山広域市文化財資料第7号に指定されています。現在、旧城跡は「鶴城公園」として整備されており、一部の石垣が残されています。この地域では、歴史や文化を楽しむ多くの人々が訪れ、当時の遺構に触れることができます。

アクセス情報

蔚山倭城を訪れるための交通手段は、公共交通機関があります。市内でのアクセスも容易で、多くの観光客がこの歴史的な場所を訪れています。蔚山倭城の遺構を観ることで、当時の歴史を感じることができる貴重な体験となるでしょう。

もう一度検索