蔣斌

蔣斌（しょう ひん）

蔣斌は、中国三国時代の蜀漢に仕えた武将です。荊州零陵郡湘郷県（現在の湖南省一帯）の出身で、父は蜀漢の重臣であった蔣琬です。弟に蔣顕がいます。

生涯

延熙9年（246年）、父の蔣琬が亡くなると、その後を継いで綏武将軍・護軍となり、五千の兵を率いて漢城の守備を任されました。

炎興元年（263年）、魏が蜀漢に侵攻を開始。11月には皇帝劉禅が降伏し、蜀漢は滅亡します。しかし、蔣斌は漢城において、魏の将軍荀愷の包囲を受けながらも、降伏することなく徹底抗戦しました。この時、魏の将軍鍾会は、蔣琬・蔣斌父子の才能と忠義に敬意を表し、手紙を送っています。蔣斌もこれに対し、丁寧な返書を送ったため、鍾会は非常に感心したと伝えられています。

劉禅が降伏した後、蔣斌は涪にいる鍾会の元へ出頭しました。鍾会は蔣斌を友人のように丁重に扱い、共に成都へ向かいますが、景元5年（264年）正月、鍾会が魏に対して反乱を起こした際、その混乱の中で殺害されました。

三国志演義における蔣斌

小説『三国志演義』では、第113回に初登場します。姜維の北伐に従軍し、祁山に陣営を築きますが、鄧艾が事前に構築していた地下道からの夜襲を受け、敗北を喫してしまいます。

その後、漢城を守備する点は史実と同様ですが、劉禅が降伏する前に、漢中が陥落した時点で魏に降伏したという設定になっています。

評価

蔣斌は、父蔣琬の遺志を継ぎ、蜀漢に忠義を尽くした武将として評価されています。特に、蜀漢滅亡後も魏に抵抗し続けた姿勢は、多くの人々に感銘を与えました。

鍾会も高く評価しており、その人柄と才能を惜しんだとされています。

参考文献

* 陳寿『三国志』巻44 蜀書 蔣琬伝附 蔣斌伝

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