蔵前JPテラス

蔵前JPテラス

蔵前JPテラスは、東京都台東区蔵前一丁目に位置する、日本郵政不動産株式会社が開発した大規模複合施設です。この施設は、「オフィス棟」「住宅棟」「物流棟」の3つの主要な建物で構成されており、それぞれが異なる機能と役割を担っています。

概要

この街区は、旧日本郵政蔵前ビルの再開発によって誕生しました。オフィス棟は、蔵前橋通りに面しており、大手トイレタリー用品メーカーであるライオン株式会社の本社機能が入る「JPライオンビルディング」がその中心です。オフィス以外にも、くらまえ橋郵便局やベーカリーが併設されています。住宅棟には、賃貸住宅、高齢者住宅、事務所・シェアスタジオ、認可保育所など、多様な居住ニーズに応える施設が集まっています。物流棟は、にほんばし蔵前郵便局や物流施設、そして屋上庭園・菜園が設けられ、都市生活の中で自然を感じられる空間を提供しています。

敷地の西側には「蔵前の小径」と呼ばれる通路があり、オフィス棟と住宅棟を結んでいます。この通路は、街区内の移動をスムーズにするだけでなく、緑豊かな景観を創出する役割も果たしています。

日本郵政グループは、環境に配慮した不動産開発を推進しており、蔵前JPテラスもその一環です。2022年には、脱炭素社会の実現に貢献するため、日本郵政は初めてESG債（グリーンボンド）を発行しました。この資金は、蔵前JPテラスと五反田JPビルディングの開発に充当されています。特に、大規模な屋上庭園や歩行者空間の整備は、緑化された空間と生物との触れ合いを可能にし、環境への貢献度が高いと評価されています。

これらの取り組みが評価され、蔵前JPテラスは「建築環境総合性能評価システム（CASBEE）」の「CASBEE-建築」認証でSランクを取得しました。さらに、オフィス棟内のライオンオフィス部分は、「CASBEE-ウェルネスオフィス」認証でも最高位のSランクを獲得しています。これらの認証により、建築物の総合的な環境性能とウェルネス性能の両面で高い評価を受けています。

沿革

2020年1月31日: 日本郵政不動産が「蔵前計画」を発表。
2020年8月31日: 各棟の主要な入居者と運営者が決定。「蔵前一丁目開発事業」が着工。ライオンが2023年春に本社をオフィス棟へ移転すると発表。
2021年6月30日: ライオン新本社ビルが「CASBEE-スマートウェルネスオフィス」認証を取得。
2022年9月1日: 日本郵政が社債を発行し、開発資金を調達。
2022年12月5日: 街区内の「くらまえ橋郵便局」がオフィス棟1階に移転し、新装開業。
2022年12月9日: 街区の名称を「蔵前JPテラス」、オフィス棟の名称を「JPライオンビルディング」と命名。
2023年3月31日: 「蔵前JPテラス」が竣工。
2023年4月1日: 賃貸住宅「JP noie 蔵前」の運営・管理開始。
2023年4月3日: ライオン本社がグランドオープン。
2023年5月1日: 高齢者住宅「ブランシエール蔵前」への入居開始。
2024年5月5日: 物流棟ににほんばし蔵前郵便局が開局。

JPライオンビルディング

墨田区本所にあった旧ライオン本社ビルは、手狭になったため、都内4カ所に分散していた関連会社のオフィスを統合する必要がありました。蔵前JPテラスへの移転により、これらのオフィスが集約されました。

フロア構成

1階から13階のオフィスには、ライオン本社とライオングループ各社が入居しています。1階にはくらまえ橋郵便局とベーカリー「TRASPARENTE La Cartolina」があります。9階は物流棟の屋上庭園とつながっており、従業員がリフレッシュできる空間となっています。

くらまえ橋郵便局

くらまえ橋郵便局は、JPライオンビルディングの1階に位置する郵便局です。

沿革

1948年3月1日: 東京貯金局内郵便局として設置。
1984年7月1日: 東京貯金事務センター内郵便局に改称。
2000年5月8日: くらまえ橋郵便局に改称。
2018年7月30日: 台東区蔵前1-3-17の仮局舎に移転。
2022年12月5日: オフィス棟1階に移転し、新装開業。

取扱内容

郵便、印紙、ゆうパック、貯金、為替、振替、振込、国債、生命保険、バイク自賠責保険、がん保険、ゆうちょ銀行ATM。

旧ライオン本社ビル

ライオンの本社は、蔵前JPテラスに移転するまで、墨田区本所の隅田川沿いにありました。この地は、ライオンの前身である小林富次郎商店が1916年から拠点を置いていた場所です。創業80周年を記念して、歯磨剤などのオーラルケア製品を扱うライオン歯磨の本社ビルが建設され、1971年に竣工しました。白い歯をイメージした外観が特徴的でした。このビルは2020年に売却され、解体後、マンションとして再開発される予定です。

また、ライオンの営業部門が主に入る「ライオン両国ビル」は、墨田区横網（JR両国駅前）にありました。こちらは、洗剤や石鹸などのトイレタリー用品を扱うライオン油脂の本社ビルとして、1971年に竣工しました。

ライオン歯磨株式会社とライオン油脂株式会社は、1980年に統合し、現在のライオン株式会社となりました。

住宅棟

賃貸住宅

18階から23階は、三井不動産レジデンシャルリース株式会社が運営する賃貸住宅「JP noie 蔵前」です。2023年4月から入居が開始されました。

高齢者住宅

9階から17階は、株式会社長谷工シニアウェルデザインが運営する高齢者住宅「ブランシエール蔵前」です。9階には庭園があり、物流棟の屋上庭園と一体化しています。

事務所・シェアスタジオ

8階には、蔵前にゆかりのあるデザイン会社であるアッシュコンセプト株式会社の本社があり、デザインやものづくりに関するイベントを行うシェアスタジオが設けられています。

保育所

3階には、ライクキッズ株式会社の認可保育所「にじいろ保育園蔵前」があります。

物流棟

日本[[郵便]]の物流拠点として機能しており、1階にトラックバース、3階から6階に駐車場があります。9階にはテニスコート11面半分の広さを持つ屋上庭園があり、東邦レオ株式会社が運営する菜園「蔵前JPテラスファーム」も併設されています。2024年5月5日に、にほんばし蔵前郵便局が開局し、1階にゆうゆう窓口が設置されました。

交通

都営地下鉄浅草線 蔵前駅 徒歩3分
都営地下鉄大江戸線 蔵前駅 徒歩7分
JR総武線 浅草橋駅 徒歩7分

外部リンク

蔵前JPテラス - 日本郵政不動産
蔵前JPテラス - JPビルマネジメント
ブランシエール蔵前 - 長谷工シニアウェルデザイン
JP noie 蔵前 - 三井不動産レジデンシャルリース
蔵前JPテラスファーム - まちなか菜園（東邦レオ）
くらまえ橋郵便局 - 日本郵政
にほんばし蔵前郵便局 - 日本郵政

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