薄紫の山脈

島根県民歌「薄紫の山脈」について

「薄紫の山脈」（うすむらさきのやまなみ）は、島根県が制定した県民歌です。作詞は米山治、作曲は古関裕而が手掛けました。

制定の経緯

1951年（昭和26年）にサンフランシスコ講和条約締結を記念し、歌詞の公募を実施。県の依頼を受けた古関裕而が作曲し、翌1952年（昭和27年）3月に制定されました。制定意義は「中国山脈を背に日本海をのぞむ郷土の自然に託して、県の発展と県民の希望を明るく唄いあげたもの」とされています。

歌詞と現状の乖離

3番の歌詞では県の人口を「九十万」としていますが、制定から60年以上が経過した2015年（平成27年）の国勢調査では、県人口は70万人を下回っており、歌詞との間に大きな隔たりが生じています。そのため、県議会では「歌詞を見直すべきではないか」との質問も行われました。

これに対し、県は「歌詞の見直しが話題になることもあるが、九〇万の県民が一丸となって新しい島根を建設していた制定当時の気概を大切にしたい」と、今後も制定時の歌詞を尊重する意向を示しています。しかし、歌唱に際しては3番を省略し、1・2番のみを歌うことが多くなっています。

歌唱と普及活動

制定時に日本コロムビアが製造した創唱盤は、藤山一郎が歌唱しています。B面には、採用曲と同時に準入選となった宮田隆作詞の「青い空なら」が、古関裕而の作曲、岡本敦郎と安西愛子のデュエットで吹き込まれています。藤山の創唱は2021年（令和3年）9月29日発売の『古関裕而秘曲集 新民謡・ご当地ソング編』で初めてCD音源化されました（B面曲の「青い空なら」は未収録）。

島根県の公式サイトに掲載されている試聴用の音声・映像ファイルは、1982年（昭和57年）のくにびき国体開催に合わせて立川清登が歌唱したカバーバージョンです。B面には、行進曲にアレンジしたインストゥルメンタル版が収録されています。県では曲の普及を図るため、1999年（平成11年）にこのカバーを原盤とするシングルCDを希望者に配布。2002年（平成14年）度からは県内の小学校1年生の全児童に、2015年（平成27年）度からは中学校1年生の全生徒に県民歌を紹介するリーフレットを配布しています。

2020年（令和2年）には、NHKの連続テレビ小説『エール』で作曲者の古関が主人公のモデルとして取り上げられたことを受け、松江市の芸能事務所・スタジオミューズが新作のミュージックビデオを公開しました。

参考文献

国民文化協会『事典 シンボルと公式制度 日本篇』（国際図書、1968年） NCID BN09461711
中山裕一郎 監修『全国 都道府県の歌・市の歌』（東京堂出版、2012年） ISBN 978-4-490-20803-0

外部リンク

県民の歌「薄紫の山脈」
「島根県民歌「薄紫の山脈」の作成経緯（歌詞の選定など）が知りたい。」（島根県立図書館） - レファレンス協同データベース

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