薄葉ヶ原の戦い

薄葉ヶ原の戦い

薄葉ヶ原の戦い（うすばがはらのたたかい）は、天正13年（1585年）に下野国で展開された重要な合戦です。この戦いには、多くの武将と軍勢が参与し、戦局は両軍にとって運命を分けるものとなりました。

戦いの背景

天正12年の8月初め、山田城主の山田辰業は、主の命を受けて那須領の薄葉と平沢へ侵攻しました。『那須記』によれば、この時、青々とした稲が刈られ、地域の民は苦しい状況に置かれたと記されています。これを受けて、那須家の福原資孝と資広は、18日、辰業に対抗するために出陣します。山田軍はその後、撤退しましたが、両者の間には深い怨恨が生まれることとなりました。

次の年の3月8日、那須家の当主である那須資晴は、山田領の北部地域である金沢に攻撃を仕掛けます。これに対して辰業は塩谷家の重臣である岡本氏宗と共に出撃しました。先鋒に立った沢村五郎を破ったものの、資晴の本隊に敗北し、再び撤退を余儀なくされました。

合戦の経過

このような状況の中、那須勢の侵攻に対抗するため、宇都宮国綱は2,500騎の大軍を率いて出陣しました。当初、国綱は塩谷義綱の助言を受けて、那須家の先鋒地である沢村城や佐久山城の攻略を目指し、塩谷郡の泉に進軍しました。その後、資晴もまた1,000騎を引き連れ、両軍は薄葉ヶ原で対峙しました。

兵力では劣勢にあった那須軍でしたが、諸将の奮闘によって次第に戦局は彼らに有利に進展します。辰業は宇都宮軍の苦境を見て、塩谷家配下の渋垂修理や玉生大内蔵など16騎を伴って資晴を打つべく突撃しましたが、逆に蘆野家の神田次郎によって討たれてしまいます。最終的に宇都宮軍は敗走し、那須軍の勝利で幕を閉じました。

戦後の展開

薄葉ヶ原の戦いで宇都宮軍を破った那須軍は、塩谷へ進攻し、辰業が守る山田城を攻撃しました。城内には山田家の家老である山田新左衛門と辰業の正室菊の前が11人の侍女とともにいましたが、城は落城します。菊の前と侍女たちは、「花見どや」と称される場所へ逃れるものの、追手によって追い詰められた結果、彼女たちは「太鼓岩」という崖から箒川に身を投げました。この出来事以降、彼女たちが命を絶った場所は「十二御前」と名付けられることになります。

その後、那須家は塩谷に進出し、真木城や乙畑城などの宇都宮方の城館を次々と陥落させ、その勢力を拡大していきました。一方、宇都宮家は多くの将兵を失い、那須家と連携していた北条家の動向を警戒しつつ、拠点を宇都宮城からより堅固な多気山城へと移しました。

参考文献

• - 『那須記』
• - 『山田環往来記』
• - 『矢板市史`

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