薩摩 (戦艦)

戦艦薩摩の概要と歴史

戦艦薩摩（さつま）は、日本海軍に属する重要な艦艇であり、その名は薩摩国に由来しています。本艦は日本が自主的に設計し建造した初めての戦艦であり、日露戦争の際に明治37年度の臨時軍事費をもとに建造されました。姉妹艦である安芸と共に、国産戦艦の象徴としての地位を確立しましたが、ワシントン海軍軍縮条約により廃棄を余儀なくされました。

建造と技術的特徴

薩摩は常備排水量19,372トンを誇り、当時の世界最大の戦艦として評価されました。しかし、1906年にイギリスで新型艦ドレッドノートが就役したことにより、薩摩は就役前に旧式艦と見なされることとなります。薩摩の建造には、呉海軍工廠が大きく関与し、造船材料の一部はアメリカから輸入されました。特に防御甲板用の鋼板が重要であり、技術力の証明とも言えるものでした。

薩摩の主砲は、前後に30.5cmの45口径連装砲を各1基、両舷に25.4cmの45口径連装砲を各3基、さらには副砲として12cm40口径単装砲を12基搭載していました。姉妹艦の安芸とは、外観や機関部の設計に相違があり、薩摩はレシプロエンジンを採用し、煙突は2本でしたが、安芸はタービン機関で、煙突は3本でした。そのため、安芸の方が実用的で優れた性能を発揮しました。

艦歴と重要な出来事

建造は原則として1904年から進められ、1906年には進水式が行われ、正式に艦名が「薩摩」と決定されました。1910年には第一艦隊に編入され、様々な演習や行事にも参加しました。特に1911年には昭和天皇の父である裕仁親王が乗艦し、艦の見学を行ったことは大きな話題となりました。これにより、薩摩は単なる艦艇に留まらず、皇族との縁も深める存在となりました。

また、1914年の第一次世界大戦では、薩摩は第二南遣支隊に編入され、太平洋のドイツ領攻略に貢献しました。このように、多くの歴史的経緯を背景に持つ薩摩ですが、軍縮条約が結ばれると、その運命は急速に変わります。

最後の日々と廃艦

1923年にはワシントン軍縮条約に基づき廃艦が決定されました。除籍されたのは1923年9月20日で、以降艦艇類別等級表からも削除されました。1924年には、薩摩は房総半島沖で戦艦日向や金剛の砲撃標的となり、最終的には駆逐艦による魚雷処分を受け、沈没しました。この棄てられた艦は、国民の血税で建造されたものであり、その沈没に対して悲痛な思いを抱く人々も少なくありませんでした。

まとめ

戦艦薩摩は、日本初の国産戦艦であり、海軍力の象徴として多くの歴史の舞台に登場しましたが、最終的には国際的な規制の中でその役目を終えました。現在では、その存在が持つ意味や影響は、多くの歴史的背景と共に語られることが求められています。

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