薩摩バンド

薩摩バンドの概要

薩摩バンド（サツマバンド）は、明治初期に設立された薩摩藩の軍楽隊であり、日本の近代的軍楽隊としての先駆けとなりました。これは、日本国内で最初の吹奏楽団とも見なされており、その音楽活動は現在の吹奏楽に繋がる重要な一歩となりました。

歴史的背景

薩摩藩が吹奏楽と接触したのは幕末期のことで、1863年の薩英戦争がそのきっかけとされています。この戦争中、イギリス軍は戦死者の水葬時に葬送曲を演奏しました。また、1866年には藩士がイギリス公使夫妻とともに興味深い軍事訓練を行い、イギリス陸軍の演奏を聴き、圧倒されたとされています。

特に1869年に薩摩藩が若者たちを連れて横浜に派遣し、イギリス陸軍から直接指導を受けることになりました。この関わりによって、標準化された楽器や演奏技術がもたらされ、音楽隊は大きく成長していきました。

樹立されたバンド

1869年の6月に正式に結成された薩摩バンドは、初期には楽器も満足に整っておらず、音楽技術も未熟でした。それにも関わらず、彼らはイギリスの指導者、ジョン・ウィリアム・フェントンから学び、徐々に実力をつけていきました。島津家の支援により、新しい楽器をロンドンから取り寄せ、演奏技術の向上に結びつきました。

君が代の演奏

特筆すべきは、薩摩バンドが1870年に日本初の国歌「君が代」を演奏したことです。フェントンが歌詞を元に曲を作り、初めて明治天皇の前で演奏されたこの音楽は、日本の国歌の歴史の中で重要なマイルストーンとなりました。

その後の発展と影響

1871年には、藩から独立して陸軍省と海軍省のもとで新たに軍楽隊が設立されました。これらの部隊も薩摩バンドの影響を色濃く受け継いでおり、初期の軍楽隊は多くが薩摩出身の者で構成されていました。

西南戦争では、薩摩から派遣された軍楽隊員が戦闘に参加し、戦死者も出るなどの歴史的な出来事も起こります。彼らの音楽は、戦場や式典で重要な役割を果たし続けました。

記念碑と文化的影響

横浜の妙香寺には、薩摩バンドの活動を記念した「日本吹奏楽発祥の地」の碑があり、その隣には「国歌君が代発祥地」としての碑も存在します。また、鹿児島にはその名称が示す通り、吹奏楽の発祥地としての位置づけがなされています。

薩摩バンドの活動は、吹奏楽の発展に多大なる影響を与え、さまざまな文化的な伝承をもたらしました。このバンドの存在なしには、今日の日本の吹奏楽の形はなかったかもしれません。

結論

薩摩バンドは、日本の軍楽隊や吹奏楽の歴史において非常に重要な役割を果たしました。その歴史や活動を知ることは、日本の音楽文化を理解する上で欠かせない要素となっています。

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