水葬

水葬とは

水葬（すいそう）は、遺体を海、川、湖などの水中に葬る葬儀方法の一種です。古くから世界各地で行われており、宗教的な理由や、地理的な条件、あるいは特殊な状況下での埋葬方法として選択されてきました。

水葬が行われる理由

水葬が行われる理由は様々です。

宗教的理由: インドのガンジス川流域やポリネシアなど、特定の地域では宗教的な信仰に基づいて水葬が行われます。遺体を川や海に流すことで、自然に還ると考えられています。
洋上での死亡: 洋上での死亡者や、上陸戦での犠牲者に対して水葬が行われることがあります。特に、軍隊では、国旗を被せた柩を海中に投下し、弔砲や弔銃を捧げる儀式が行われます。

各国の水葬

日本: 古墳時代の舟形石棺や、葬儀の世話人を「フナウド（舟人）」と呼ぶ風習など、古来より水葬が行われてきたことを示唆する風俗や伝承があります。現代では、原則として刑法上の死体遺棄罪に該当しますが、例外として、公海上の船舶においては、船員法に基づいて水葬が認められています。

船員法では、以下の条件を満たす場合に水葬が可能です。

1. 船舶が公海にあること
2. 死亡後24時間を経過していること（伝染病による死亡の場合は例外）
3. 衛生上、死体を船内に保存できないこと
4. 医師が乗り組む船舶では、医師が死亡診断書を作成していること
5. 伝染病による死亡の場合は、十分な消毒を行うこと
インド: ガンジス川流域では、ヒンドゥー教の儀式として水葬が行われています。これは、ヒンドゥー教が無常観思想を受け継いでいるためと考えられています。
アメリカ合衆国: 21世紀に入り、中東地域で殺害したイスラム系武装組織の指導者などの遺体を、埋葬地が聖地とみなされるのを避けるため、水葬にするケースが見られます。ウサマ・ビンラディンの殺害後、遺体をアラビア海に運び、イスラムの葬儀に必要な手順を踏まえながら水葬に処したことが知られています。

法的な側面

日本では、原則として水葬は刑法190条の死体遺棄罪に該当します。しかし、公海上の船舶においては、船員法に基づいて水葬が認められています。自衛隊でも、同様の規定が存在します。

水葬された有名人

木曾義昌
カジミエシュ・プワスキ
フランシス・ドレーク
ジェームズ・クック
山崎丞（新撰組隊士。但し、異説もある）
ニール・アームストロング

関連項目

海葬
散骨
船葬墓

水葬は、文化、宗教、法律など、様々な側面から考察できる葬儀方法です。この記事を通して、水葬に関する理解を深めていただければ幸いです。

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