薩摩硫黄島のメンドン

薩摩硫黄島のメンドンと八朔太鼓踊り

薩摩硫黄島のメンドンは、鹿児島県の三島村硫黄島地区で行われる伝統行事「八朔太鼓踊り」に登場する重要な存在です。メンドンは仮面をつけ、藁で作られた衣装をまとい、地域のみんなに福をもたらす来訪神とみなされています。この行事は、国の重要無形民俗文化財に指定され、さらにユネスコの無形文化遺産としても認定されています。

祭りの背景と意義

八朔太鼓踊りは、特に夏から秋にかけての時期に、神が島を訪れ人々に災厄を祓い、幸福を授けるために行われます。南西諸島には類似する祭りが数多く存在しますが、薩摩硫黄島のメンドンはその信仰形態や神観念がよく表れており、特に重要な例として捉えられています。

八朔太鼓踊りの概要

八朔太鼓踊りは、島の伝統的な芸能イベントのひとつで、盆踊りや九月踊りとともに、毎年旧暦の8月1日と2日に熊野神社で奉納されます。行事の中で、歌い手が鉦を握り歌を歌い、踊り手がそのリズムに合わせて舞を舞う様子が見られます。

初日が終わると、異形の仮面を持つメンドンが神社の境内に現れます。メンドンはその周辺を三周して静かに場を離れ、これが「一番メン」と呼ばれる最初の行動です。続いて、多くのメンドンが現れ、観衆を追い回したり、踊りの邪魔をしたりします。特に「スッベン木」と呼ばれる神木で人々の頭を軽く叩くことで、厄災を払います。メンドンは行事が終わった後も、夜遅くまで集落を自由に走り回り、その姿に驚かされることもあります。

2日目には「叩き出し」と称される儀式が行われます。この儀式では、踊り手たちが島を巡り、悪霊を海へ追い払います。この際、メンドンが先頭に立ち、最後には神社に戻って締めの踊りが奉納され、行事が完結します。

メンドンの姿と習慣

メンドンは、カヤや藁で作られた衣装を身にまとい、手袋をはめて素性を隠します。仮面を作成するのは、通常、14歳の男児で、彼が祖父や父親の手を借りて、数ヶ月かけて制作します。この仮面は、農作業用の背負籠を利用して作られ、視界を確保しつつ様々な形状が作られます。

制作した仮面は、旧暦の8月1日当日の朝に神社に奉納されるのが伝統です。また、メンドンに対しては「天下御免」という慣習があり、その行動には逆らえないとされています。そのため、メンドンに声をかけたり、仮面の中にいる人の正体を追及することは禁じられています。

結論

このように、薩摩硫黄島のメンドンと八朔太鼓踊りは、地域の文化や信仰を象徴する大切な行事です。ここに込められた願いや地域の人々の思いは、未来へと受け継がれていくことでしょう。

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