薬王菩薩

薬王菩薩について

薬王菩薩（やくおうぼさつ、梵: Bhaiṣajyarāja）は、仏教において重要な役割を持つ菩薩であり、主に釈迦如来の脇侍として、その教えを支援する存在とされています。薬王菩薩は、薬上菩薩と兄弟であり、共に人々に施す薬の善行によって菩薩の位に達したとされています。この二菩薩は、一般的に薬壷と薬草を手に持った姿で描かれ、多くの信者に親しまれています。

法華経における薬王菩薩

法華経の「薬王菩薩本事品」では、薬王菩薩の前世についての物語が展開されます。彼の前世は「一切衆生喜見菩薩」と呼ばれ、日月浄明徳如来の弟子として知られています。この菩薩は法華経を耳にし、苦行を重ねて「現一切色身三昧」を体得します。彼は仏への供養を行い、自ら香を飲むことで身体を香油で塗り、焼身の行を実践し、その功徳により1200年間も燃え続けたとされます。命を終えた後には、再び日月浄明徳如来の国に誕生し、浄徳王の子として大王を教化したと伝えられています。

妙荘厳王本事品の物語

さらに「妙荘厳王本事品」では、菩薩の起源に関するエピソードが語られ、昔、雲雷宿王華智如来の教えを受けていた妙荘厳王と浄徳夫人のもとに生まれた浄蔵と浄眼が、それぞれ現在の薬王菩薩と薬上菩薩になることが述べられています。

観薬王薬上二菩薩経の紹介

他にも「観薬王薬上二菩薩経」では、薬王菩薩と薬上菩薩の誕生の背景が描かれています。過去世に瑠璃光照如来が現れた際、日蔵比丘が出現し、彼の教えに感動した兄弟が大乗の教えを聞いて、大菩提心を起こしました。この兄弟が後の薬王菩薩と薬上菩薩であるとされ、釈迦如来は彼らが將来浄眼・浄蔵の如来になることを示されたと言います。

将来の成仏について

また一部の経典では、薬王菩薩が未来に楼至如来となることが語られています。さらに、日蓮宗やその系統の教団においては、薬王と薬上が天台智顗や伝教最澄と結びつけられ、法華経に基づいて様々な解釈がなされているのです。彼らはそれぞれ像法時の迹化の菩薩として、末法における本化を日蓮に譲る形で教義が展開されています。

結論

薬王菩薩は、薬草を扱う象徴的な存在であり、仏教信仰において重要な役割を果たしています。彼の物語は、多くの信者に慈悲や無私の心を教え、病や苦悩からの解放を求める人々に力を与える存在として今日でも崇拝されています。

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