藤井保紀

藤井 保紀

藤井 保紀（ふじい やすのり）氏は、1941年に生まれた日本の経営学者であり、米国公認会計士の資格を有しています。国際的な金融機関から日本の主要企業、さらには教育機関に至るまで、多岐にわたるキャリアを歩み、特に国際会計と経営戦略を専門分野として活動してきました。

学歴と初期キャリア

藤井氏は1964年に一橋大学商学部を卒業後、日本長期信用銀行に入行し、金融業界での第一歩を踏み出しました。その後、学術的な探求心を深めるため渡米し、1968年にはペンシルベニア大学大学院のビジネス・経済学研究科博士前期課程を修了し、経営学修士（Master of Business Administration, MBA）を取得しました。この海外での学びは、その後の国際的なキャリアの基盤となります。

国際舞台での活動

MBA取得後、藤井氏は1970年にアジア開発銀行のアナリストとして国際的な金融開発の現場に携わりました。この時期には、サウジアラビアのNCB銀行で経営顧問を務めるなど、中東地域でのコンサルティング経験も積んでいます。1980年からは日本欧州銀行に移り、副社長を経て社長に就任。欧州での金融業務において指導的な役割を果たしました。さらに、1987年にはハーバード大学経営大学院のAMPコースを修了し、グローバルな経営リーダーとしての知見を一層深めています。日本長期信用銀行に戻った後は、1989年にロンドン支店長、1991年には取締役ロンドン支店長を務め、国際金融の最前線で活躍しました。

産業界での多様な経験

金融業界での実績を積み重ねた後、藤井氏は産業界へと活動の場を広げます。1993年に熊谷組に常務取締役として迎えられ、1995年には専務取締役海外本部長に昇進。国内外の建設事業において経営手腕を発揮しました。この間、1994年には社団法人海外建設協会の総務委員や総務委員長、建設省の研究会委員なども務め、業界全体の発展にも貢献しています。2000年に熊谷組の顧問に就任した後、2001年には中外製薬の専務取締役に就任。製薬業界という新たな分野で経営に携わりました。その後、同社の監査役（2004年）、補欠監査役（2012年）を歴任し、企業のガバナンス強化にも関与しています。

専門性と学術活動

藤井氏の専門分野は国際会計と経営戦略であり、これらの知識は多様な産業界での経験を通じて一層深められました。2001年には米国公認会計士の資格を取得し、その専門性をさらに明確にしています。実務経験を活かし、2002年には静岡産業大学経営学部の特任教授に就任し、後進の育成にも力を注ぎました。また、リサ・パートナーズの監査役（2002年）やシグマインベストメントスクールの非常勤講師としても活動しています。学術的な探求は続き、2009年には千葉大学大学院人文社会科学研究科博士後期課程を修了し、博士（経営学）の学位を取得しました。

著作

藤井氏は、自身の専門知識と豊富な実務経験を基に、複数の著作を執筆しています。主要なものとして、会計分野の変革に焦点を当てた『会計ビッグバンとコーポレートガバナンス』（シグマベイスキャピタル、2002年11月）、国際的な会計基準であるIFRS（国際財務報告基準）の影響について解説した『IFRSの衝撃』（日経BP社、2009年12月）などがあります。これらの著作は、会計・経営に関する専門家や実務家にとって重要な示唆を与えています。

藤井保紀氏は、金融、建設、製薬と多岐にわたる産業界で要職を歴任し、国際的な視点と会計・経営戦略の専門知識を兼ね備えた人物です。そのキャリアは、実務と学術の両面から日本のビジネス界に貢献してきました。

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