藤原政則

藤原政則について

藤原政則（ふじわら の まさのり）は、平安時代中期に活躍した武将です。その出自については、複数の説が存在し、確定的なことは分かっていません。一般的には、藤原北家中関白家、権大納言・藤原経輔の子、あるいは経輔の父・隆家の子、さらに肥後守・高木文貞（文定）の子ともされています。また、菊池氏の祖である菊池則隆の父であるという説が有力です。

生涯

政則は、長徳3年（997年）に但馬国で生まれたとされています。初名は基定といい、別名として蔵規とも記述されます。寛仁3年（1019年）の刀伊の入寇の際には、大宰権帥藤原隆家の下で大宰少弐として戦功を挙げました。一説には、この隆家が但馬国に流された時の子息ともされています。

菊池氏との関係

菊池氏は、隆家の孫とされる則隆が肥後国に下向して土着したとして、藤原姓（藤原北家）を自称し、各種系図もこれに沿った内容となっています。しかし、昭和34年（1959年）に志方正和が公家の日記や『源氏物語』を研究した結果、隆家の後裔とする説は仮冒であると指摘しました。志方正和は、政則が肥後住人と記述されていることから、政則と則隆の代（延久2年（1070年）頃）に菊池周辺に土着したとする説を発表し、この説が現在では有力とされています。歴史学者の石井進もこの説を支持しています。

一方で、近年、政則の初名が「基定」と記された系図の存在が公表され、これを尊卑分脈にある隆家の五男・基定（肥前守従五位下）のことではないかとする新説も登場しました。さらに、長男・則隆に加え、従五位下右近将監「則忠」、従五位下武部少輔「則宗」、従五位下肥前守「武重」という3人の子の存在も新たに浮上しています。

これらの新説は、菊池氏のルーツを解き明かす上で重要な手がかりとなりそうです。より詳細な情報は、菊池氏の項も参照してください。

その他の活動

政則は、藤原実資の牧司や大宰大監も務めたことが知られています。また、長和2年（1013年）に対馬守、長和4年（1015年）に肥前守などを歴任しました。しかし、藤原定任殺害の嫌疑を受けて追捕されたという記述も残っており、波乱に満ちた生涯を送ったことが伺えます。

まとめ

藤原政則は、平安時代中期に活躍した武将で、出自や生涯については諸説ある人物です。菊池氏の祖である菊池則隆の父とされていますが、その出自については、様々な説が提唱されており、現在も研究が進められています。政則の足跡を辿ることは、平安時代の歴史や菊池氏のルーツを解き明かす上で、非常に重要な意味を持つと言えるでしょう。

参考文献

澁谷龍『探求 菊池一族 －古系圖に見える真実－』（ミヤオビパブリッシング、2014年）

関連項目

菊池氏

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