中関白家

中関白家について

中関白家（なかのかんぱくけ）は、日本の平安時代中期における藤原北家の一族であり、その祖は摂関藤原道隆です。この一族は、藤原氏の一部として重要な役割を果たしました。

呼称の由来

「中関白」という名称にはいくつかの起源説があります。一つは、道隆の父である兼家が自身の系統による摂関の独占を確立し、道隆自身がその影響を受ける中で形成されたというものです。また、道隆が藤原家の中で2番目の摂関であったことから名付けられたという説も存在します。この呼称が文献に登場するのは、12世紀前期の作品に見られ、『江談抄』や『中右記』、『大鏡裏書』などが挙げられます。

藤原道隆の功績

道隆は、正暦元年（990年）に父・兼家を継いで摂関に就任し、その後は自身の家系を摂関家の嫡流とするための努力を尽くしました。彼の嫡男伊周は内大臣に任命され、その弟隆家は参議に就任しました。さらに、庶長子道頼が権大納言に任ぜられ、道隆の娘である定子は一条天皇の中宮になり、また原子は東宮居貞親王（後の三条天皇）の妃となるなど、家系の影響力が強まっていました。

家系の運命

しかし、道隆と道頼は長徳元年（995年）に相次いで急死するという不運に見舞われ、その後の権力闘争において伊周は叔父道長に敗北し、花山院闘乱事件に関与したとして大宰権帥に左遷されました。彼と共に連座した隆家も厳しい処遇を受けることになりました。定子は長徳の変で伊周と隆家をかくまった後に出家し、世評を下げることとなります。彼女も後に子を産むも崩御し、皇位を継承することはありませんでした。伊周の子道雅も不遇のまま亡くなるなど、家系は困難な状況に陥ります。

家系の存続

隆家の子孫は坊門家や水無瀬家として知られました。坊門家は室町時代には断絶しましたが、水無瀬家は水無瀬流として明治維新までその家系を保ちました。それでも、大臣以上の者を輩出することはなくなり、藤原家の中での影響力は次第に薄れていったと言われています。

参考文献

• - 橋本義彦「中関白家」（『日本史大事典 5』（平凡社、1993年） ISBN 978-4-582-13105-5）
• - 関口力「中関白家」（『平安時代史事典』（角川書店、1994年） ISBN 978-4-04-031700-7）

このように中関白家は、藤原家の中でも特に重要な位置を占めていたものの、権力闘争や不幸な出来事によりその影響力は減少し、ついには大臣以上を輩出することができなくなった一族の歴史を持っています。

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