藤原敦敏

藤原敦敏の生涯

藤原敦敏（ふじわら の あつとし）は、平安時代中期に活躍した貴族であり、藤原北家に属していました。彼は摂政太政大臣である藤原実頼の嫡男であり、名家に生まれたことから政治的な影響を持つことが期待されました。しかし、彼の生涯は短命に終わります。

経歴

敦敏は朱雀天皇が即位していた承平5年（935年）に元服し、従五位下として官職に就き、その後、右兵衛佐に任命されました。彼の昇進は続き、天慶6年（943年）には五位蔵人も兼ねて左近衛少将に任命されました。その後、天慶8年（945年）には父が昇進したのに伴い、敦敏は左近衛少将から右近衛少将に転任しました。

彼は天慶9年（946年）4月、朱雀天皇の譲位にともない五位蔵人の職を去りますが、村上天皇の即位により再び五位蔵人に任命されました。同年11月に行われた大嘗会では悠紀国司を務め、その功績により正五位下に昇叙されました。しかし、彼の健康は次第に悪化し、天暦元年（947年）の11月17日に疫病で急逝します。享年はわずか30歳でした。最終的な官位は右近衛少将正五位下で、近江権介を兼任していました。

人物・逸話

敦敏は、周囲から非常に評価されていましたが、天暦元年に流行した疫病によって早世しました。その死は、彼の家族に大きな影響を及ぼしました。彼の父、藤原実頼は息子の死を悲しみ、敦敏のために献上された馬を知った際に詠んだ悲嘆の歌が伝えられています。

また、敦敏の家系には興味深い背景があります。彼の大伯父、藤原時平は菅原道真を失脚させた人物であり、時平の血を引く人々はしばしば短命であったという言い伝えがあります。道真の怨霊によるものとされており、敦敏もまたその影響を受けたと見られています。

藤原北家の嫡男であった敦敏は、彼の祖父や父に比べて政治的にはあまり目立ちませんでしたが、それでも『後撰和歌集』に1首の和歌が残されています。このことは、彼の文学的才能を示す一端となっています。

官歴

敦敏の官歴は、彼の地位の変遷を示しています。元服を果たした承平5年12月2日から始まり、彼は次第に重要な役職に任命されました。

• - 承平5年（935年）: 元服
• - 従五位下、右兵衛佐、近江権介
• - 天慶6年（943年）: 五位蔵人、左近衛少将
• - 天慶8年（945年）: 右近衛少将
• - 天慶9年（946年）: 再び五位蔵人、正五位下に昇叙
• - 天暦元年（947年）: 卒去

系譜

敦敏の家族背景も重要です。彼の父は藤原実頼、母は藤原時平の娘です。また、妻は藤原元名の娘でした。子には藤原佐理があり、他にも数名の子女が存在します。

このように、藤原敦敏は短い生涯ながらも、平安時代の重要な貴族の一人であり、その影響は後の時代にも及ぶことが期待されました。

もう一度検索