藤堂高久

藤堂 高久の生涯と藩主としての業績

藤堂 高久（とうどう たかひさ）は、伊勢津藩の第3代藩主で、藤堂家の宗家3代目にあたります。彼は祖父である藤堂高虎をいただく家系に生まれ、1644年に将軍徳川家光に御目見するなど、若い頃からその名を世に知られることとなりました。

初期の政治活動と改革

1654年に従四位下・和泉守に叙され、1669年に家督を継承した高久は、当時の藩の状況が財政難に悩まされていることに直面します。彼は即座に藩政改革に着手し、綱紀粛正に努める一方で、新田開発や水利事業に力を注ぎました。これにより、領民の評価が高まり、『土芥寇讎記』においては「領民は高久を仏のように思い崇めている」と称賛されています。

彼はその公正さや情の深さで名君として知られ、他の無能な藩主たちとは一線を画していました。ただし、1669年に白土山の陶土採掘を禁止したことで、大勢の陶工が信楽に流出し、伊賀焼の衰退を助長したことは大きな失策と見なされています。

幕府との関係と心得

高久は大老・酒井忠清の娘である亀姫を正室として迎え入れており、これにより幕府との関係をより強固にしました。1681年に忠清が急死すると、彼はその死因について疑念を持つ徳川綱吉から派遣された目付と思しき者と交渉に臨み、遺族を代表して折衝を行いました。また、忠清の遺児の女児を養女として迎えることで、自身の地位を一層安定させようとしました。

時代が大名家の取り潰しで揺れている中、高久は保身に務め、幕府の意向に配慮した行動を取っていました。特に柳沢吉保との接近が強調されており、その親密さから「柳沢家の玄関番」と名付けられる程、この立場を利用していくつかの場面で有利に働かせようとしたことが伝えられています。

晩年と評価

高久はまた、軍事的にも高く評価され、前述の『土芥寇讎記』では「彼は名将であり、良将であっても過言ではなく、他将の手本とされるべき存在である」と言及されています。彼の人柄は、男色や女色におぼれない清廉さとも評されていました。

1703年、江戸で高久は世を去りますが、彼の遺言により、故郷の上野盆地西部にある長田山に埋葬されました。この場所は后として藤堂高久公廟として三重県の指定史跡にもなっています。

高久には男子が無かったため、家督は弟の藤堂高睦が継ぐこととなりました。藤堂高久の評価は今なお高く、彼の政治家としての業績や人間性は、後世に多くの影響を残したことに違いありません。

系譜

• - 父：藤堂高次
• - 母：多羅尾氏
• - 正室：亀姫 - 酒井忠清の娘
• - 養子：藤堂高睦 - 実弟

彼の生涯は、時代の波に翻弄されながらも、誠実さと優れた政治手腕によって多くの人々から支持され続けました。

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