藤堂高敏

藤堂 高敏（とうどう たかとし）

藤堂高敏は、伊勢国津藩の第5代藩主であり、藤堂家宗家の5代目の当主です。彼は伊勢久居藩の初代藩主である藤堂高通の三男として生まれ、後に久居藩の家督を継ぐこととなります。高敏が誕生した環境や、その後の藩政について見ていきましょう。

生涯の概要

高敏は、1705年に藩主の養嗣子として迎えられ、将軍徳川綱吉への御目見も果たしています。元禄10年（1697年）に父高通が亡くなった際、当時まだ5歳という幼少期であり、叔父の高堅が一時的に家督を継ぐこととなりました。これにより、高敏は成長したのちに藩主としての役割を担うことになります。彼は宝永4年（1708年）に従四位下・大学頭に叙任され、ようやく本格的な藩政に関わることができるようになりました。

しかし、藩政を取り巻く環境は厳しく、地震や自然災害が続き、農作物の不作が相次ぎました。これにより藩の財政は深刻な状況に陥り、一時は正月の餅つきを中止しなければならないほどにまで至りました。高敏はこれらの困難に直面しつつ、藩主としての責任を果たすために努力しましたが、状況は好転しませんでした。

疾病と死

1728年、高敏は疱瘡にかかり、回復への道が見えないまま、藩の方針を打開するために多くの苦悩を抱えていました。8代将軍の徳川吉宗からも薬を下賜されましたが、状況は改善されず、同年の4月13日（旧暦では5月21日）に津城にて死去しました。彼の急死は多くの人々に衝撃を与え、藩の将来にも大きな影響を及ぼしました。

高敏の死後、家督は一族の養嗣子である藤堂高治が継承しました。高治は初代藩主藤堂高虎の弟、高清の子孫であり、藩主の血統が5代で途絶える結果となりました。これにより、藤堂家における世代交代の波は新たな局面を迎えることになります。

家族関係

藤堂高敏の家族は、父・藤堂高通、母・智鏡院（福本休悦の娘）との密接な関係が見受けられます。また、正室は中川久通の娘で、養子には藤堂高治が迎えられました。高敏の家族構成は藤堂家の伝統や歴史を色濃く反映しており、彼の血筋は藩政の運営にも影響を与える要素となっていました。

総じて藤堂高敏は、波乱に満ちた生涯を送りながらも、藩主としての責任を果たそうと力度を尽くした人物でした。彼の死後は藩如其れの理念と方針が引き継がれ、その後の歴史に影響を与えていくことになるのです。

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