藤堂高清

藤堂高清（とうどう たかきよ）

藤堂高清は、天正13年（1585年）に藤堂虎高の三男として生まれました。母は宮崎一郎左衛門の娘で、藤堂高虎とは異母兄弟の関係です。幼名は不明ですが、通称は与右衛門といい、後に官位として従五位下、出雲守を授けられています。

生涯

慶長7年（1602年）、高清は板島城で元服し、異母兄である藤堂高虎の旧称「与右衛門」を継ぎました。同時に5000石を与えられ、武将としての第一歩を踏み出します。慶長19年（1614年）の大坂冬の陣では初陣を飾り、高虎から右中軍を任されて、16騎の侍組と雑兵合わせて300人ほどの軍勢を指揮しました。真田丸の攻防戦では、股に銃弾を受けるほどの奮戦を見せました。

翌年の大坂夏の陣では、伊賀名張城の城代を命じられ留守を任されましたが、高清は高虎の命令に反し、数名の家臣を連れて密かに河内千塚にいる高虎に参陣を願い出ました。しかし、高虎はこれを許しませんでした。それでも高清は、同じく無断で出陣してきた弟の藤堂正高と共に八尾の戦いに参戦し、50の首級をあげるという大活躍をしました。

戦後、高虎は高清の武功を認めず、命令違反を理由に所領を没収し、伊勢三ヶ野村に蟄居させました。元和5年（1619年）にようやく罪を許され、伊賀上野城の城代として復帰しました。その後は藤堂宗家をよく補佐し、寛永17年（1640年）8月15日に亡くなりました。遺体は伊賀上野の長者屋敷に葬られています。

子孫

津藩の藩主は、藤堂高虎の男系子孫としては5代目の藤堂高敏で途絶えてしまいます。その後、高清の曾孫にあたる藤堂高治が養子となり6代藩主を継ぎました。これ以降、津藩は高清の男系子孫が藩主を継承することになります。

逸話

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いの際、西軍側から板島城に高清を人質として差し出すように要求がありました。当時、高虎は不在であり、城内では対応を巡って議論が起こりました。これを聞いた高清は、助けを求めて城を抜け出し、高虎の古参家臣である服部大夫康次の屋敷に逃げ込みました。康次は高清が自分を頼ってきたことを大変喜び、城に乗り込んで留守居役を一喝し、高清の人質としての差し出しを拒否するようにまとめました。これにより、高清は人質となることを免れたと言われています。

参考文献

* 家臣人名事典編纂委員会編『三百藩家臣人名事典』（新人物往来社、1987年11月）

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