藤岡兵一

藤岡兵一（ふじおか ひょういち）

概要

藤岡兵一は、1885年（明治18年）4月2日に生まれ、1957年（昭和32年）1月5日に没した日本の官僚です。内務省に入省後、地方官僚として複数の県で知事を務めたほか、警察部長、関東庁警務局長、名古屋市助役、東京市助役などを歴任し、最後は浜松市長を務めました。その生涯は、日本の近代化と地方行政の発展に大きく貢献しました。

生い立ちと学歴

石川県出身で、藤岡明郷の長男として生まれました。第四高等学校を経て、1909年に東京帝国大学法科大学政治学科を卒業しました。同年11月には、文官高等試験行政科試験に合格し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。

官僚としてのキャリア

内務省に入省後、岐阜県属を皮切りに、岐阜県、山口県、静岡県で事務官や理事官を歴任しました。その後、鳥取県、群馬県、宮城県、広島県で警察部長を歴任し、地方行政と警察行政の両分野で経験を積みました。これらの経験を通じて、地方の状況を深く理解し、行政官としての能力を高めていきました。

県知事としての活躍

1923年9月には高知県知事に就任しました。在任中には、高知城公園内の板垣退助銅像の建立に尽力し、除幕式には板垣退助の令孫である板垣守正が参加しました。1926年9月には栃木県知事に転任し、救農策や小作争議への対応、学校の新設などに尽力し、県民の生活向上に貢献しました。1927年5月には鳥取県知事に転任しましたが、1928年の第16回衆議院議員総選挙において選挙干渉を行ったことが問題となり、同年5月に辞任、関東庁警務局長へ転任しました。この事件は、彼のキャリアに影を落とすこととなりました。

その他の役職

官僚を退任後は、名古屋市助役、東京市助役を歴任し、都市行政にも携わりました。1942年11月からは浜松市長を務め、戦時下という困難な状況下で市政運営に尽力しました。しかし、1946年11月に公職追放となり、その後の公職への復帰はかないませんでした。

晩年

公職追放後、藤岡兵一は表舞台から姿を消し、その晩年についての詳細は不明です。しかし、彼が日本の地方行政と警察行政、そして都市行政に貢献したことは疑いようがなく、その功績は歴史に刻まれています。

参考文献

『板垣退助君略傳』池田永馬編、板垣伯銅像記念碑建設同志会、大正13年（1924年）9月5日
『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会編、歴代知事編纂会、1991年
『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』秦郁彦編、東京大学出版会、2001年
『「現代物故者事典」総索引 : 昭和元年～平成23年 1 (政治・経済・社会篇)』日外アソシエーツ株式会社、2012年

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