第16回衆議院議員総選挙

1928年2月20日に実施された第16回衆議院議員総選挙は、日本における民主主義の進展を示す重要な出来事です。この選挙は、昭和改元後初の衆議院選挙であり、1925年に施行された普通選挙法に基づく最初の選挙でもありました。したがって、「第1回普通選挙」とも呼ばれています。

普通選挙法の成立

それまでの日本では、選挙権は一定の納税を行う成人男性に制限されていましたが、大正デモクラシーと第二次護憲運動の影響により、1925年に普通選挙法が成立しました。この法律により、25歳以上の成年男性に一般的な選挙権が与えられ、選挙制度改革が進展しました。普通選挙は、1925年の地方議会選挙で初めて導入され、特定の市町村で既に実施されていました。

選挙の状況と展開

当時、政府与党は選挙に対して多くの干渉を行い、内務省の高い官僚たちが選挙の結果に影響を及ぼしていました。田中義一内閣は、内務大臣の指揮のもとで選挙干渉を行い、与党優位とする狙いを持っていました。一方で、野党である立憲民政党は、選挙干渉に対抗するために選挙革正委員会を設置しました。

選挙の結果、与党の立憲政友会は218議席を確保したのに対し、野党第1党の立憲民政党は216議席を得ました。しかし、いずれの党も過半数を取ることができず、議会は「ハング・パーラメント」（宙ぶらりん議会）となりました。残りの32議席は他の政党や独立候補が占め、その結果、彼らが政権運営に影響を与えることとなります。

この選挙から日本の選挙制度は小選挙区制から中選挙区制に移行し、その形態は1993年第40回衆議院議員総選挙まで続くこととなりました。

選挙ポスターの導入

この選挙の特徴的な点の一つは、選挙ポスターが本格的に導入されたことです。ポスターは約94センチメートルの縦幅と64センチメートルの横幅に制限されていましたが、掲出場所や内容には特に制約がなく、各候補者が政策をアピールするために様々なデザインやメッセージを用いました。

投票と結果

この選挙では、内閣は田中義一内閣であり、解散日は1928年1月21日、投票日は2月20日でした。投票者数は12,408,678人で、投票率は80.33%という高い数値を記録しました。

党派別の獲得議席を見ると、立憲政友会は217議席、立憲民政党は216議席という結果で、両党ともに歴史的に重要な地位を持つこととなりました。また、社会民衆党、労働農民党などの無産政党も残りの議席を得ており、新しい政治的勢力の台頭を示しています。

この選挙は単なる政治的な出来事にとどまらず、日本の民主主義の成熟を意味する歴史的な瞬間でした。選挙の影響はその後の日本の政治状況を大きく左右し、選挙制度の改革や政党政治の発展につながっていきます。

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