藤本敏夫

藤本敏夫：社会変革と有機農業への生涯

藤本敏夫（1944年1月23日 - 2002年7月31日）は、日本の学生運動指導者、政治活動家であり、後に有機農法の実践家として知られる人物です。「大地を守る会」の初代会長を務め、鴨川自然王国の設立者でもあります。歌手の加藤登紀子を妻に持ち、娘は歌手のYae。

学生運動から有機農業へ

兵庫県西宮市に生まれた藤本は、同志社大学に進学し新聞学を専攻しますが、1964年に学生運動に参加。京都府学連書記長に選出され、反帝全学連の委員長も務めました。しかし、内ゲバの激化に反論し、学生運動から離脱。その後、長崎県平戸に滞在し、地球と人間の問題を考察しました。

1972年には、学生運動に関連して実刑判決を受け服役。獄中で加藤登紀子と結婚しました。出所後、藤本は農業の理想を追求し、有機農業の普及に尽力。「大地を守る会」を設立し、初代会長に就任しました。

大地を守る会での活動

「大地を守る会」は、有機農産物の普及を通じて、安全な食と持続可能な社会を目指す団体です。藤本は、自らも千葉県鴨川市に移住し、「鴨川自然王国」を設立。自然との共生を実践する場として、多くの人々に影響を与えました。

大地を守る会は、三里塚闘争を行っている農家が結成した「三里塚農法の会」から有機農法の農産物を買い付けていましたが、会社化後は活動内容が変質したため、反対派と疎遠になりました。

晩年と遺産

1992年には、参議院選挙に環境政党「希望」を結党し立候補しましたが、落選。「希望」は、みどりといのちのネットワーク、原発いらない人びと、ちきゅうクラブを糾合した組織でした。

晩年は、農林水産省関東農政局の諮問委員を務め、持続循環型農業の普及方法を提言。全国各地でトーク＆ライブを開催し、有機農業の重要性を訴えました。

2002年7月31日、肝臓がんのため58歳で死去。彼の遺志は、「大地を守る会」や「鴨川自然王国」を通じて、今も受け継がれています。

主な著作

農的幸福論―藤本敏夫からの遺言
全共闘30年―時代に反逆した者たちの証言
藤本敏夫の糖尿病変革論―愛する糖尿者に贈る
不健康長寿国ニッポン（西丸震哉との共著）
希望宣言―日本の「風と土」をとりもどす「無農薬政治」への道
人は昔魚だった

藤本敏夫の生涯は、社会変革への情熱と、自然との共生を求める探求に満ちていました。彼の思想と実践は、現代社会における持続可能性の重要性を私たちに教えてくれます。

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