藤枝守

藤枝 守（ふじえだ まもる）

藤枝守は1955年1月10日生まれで、日本の現代音楽シーンにおいて特異な存在となっている作曲家です。出身地は広島県広島市で、音楽の道を追求するため1980年に東京音楽大学の研究科を修了。その後、1982年からカリフォルニア大学サンディエゴ校に留学し、さまざまな音楽家から音楽理論や実践を学びました。1988年にはPh.D. in Musicを取得し、音楽界にその名を知られることとなります。

教育と経歴

藤枝は、音楽家としての活動と同時に教育者としても多くの影響を与えてきました。1988年からは東邦音楽短期大学・東邦音楽大学にて教鞭を執り、2001年には東京造形大学に移ります。その後九州芸術工科大学の教員となり、2003年の大学統合後には九州大学大学院芸術工学研究院の教授として勤務を続けます。そして、2020年に定年退官し、その後名誉教授として九州大学に名を残しました。音楽学者である妻、柿沼敏江との結びつきも忘れてはならない要素です。

音楽へのアプローチ

藤枝の音楽作りは、「耳に居心地の良いもの」についての探求から始まります。彼は自身の音楽が聴衆によってどう受け取られるかに注意を払い、音楽の本質的な意味を問いかけます。特に初期の作品では、調性的なパターンを基にし、それを西洋音楽の古典に適用することで彼独自の音楽世界を展開していました。代表作の一つである「遊星の民話」は、この時期の彼の音楽スタイルを象徴するものです。

その後、カリフォルニアでの学びを経て、藤枝は音楽の調律問題に興味を持つようになりました。特にハリー・パーチの43分割音律をはじめとする新たな調律法に注目し、これを彼の作品に取り入れました。彼は電子楽器ではなく、琴やクラビコード、笙といった楽器を使用し、調律の自由さを生かした音楽を展開します。コンピュータを駆使して、自身が開発した調律法を基に、新しい音楽を模索し続けています。

代表的な楽曲と作品

藤枝守は使用する楽器にも独自のこだわりを示しており、特に「植物文様」という作品においてはスタインウェイではなくペトロフを使用することを選択しました。このように、楽器選びにも慎重に取り組み、作品の表現豊かさを追求しています。彼の作品はコジマ録音やTzadikなどからリリースされており、音楽愛好家に広く知られています。

藤枝の主要な作品には、以下のようなものがあります。

• - Falling Scale No. 1 - No. 7 (1975–82) - 複数のピアノソロ及び2台、3台のピアノによる演奏。
• - Upward Falling for piano (1980) - 繊細な表現を追求したピアノ作品。
• - Planetary Folklore I for piano (1980) - 古典的な要素を融合させた作品。
• - Night Chant No. 2 (1994) - 合唱団と楽器アンサンブルのための作品。
• - Antiphones Resounded (1999) - メゾソプラノ、テノール、子ども合唱団と器楽アンサンブルのための作品。

彼の音楽には、様々な調律や楽器、そして音楽理論が反映されており、その独自のアプローチは現代音楽において重要な遺産を形成しています。今後もその作曲活動や新しい試みが注目されることでしょう。

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