藤池昇

藤池 昇龍 (ふじいけ のぼる)

1953年8月24日生まれ、2017年2月19日没。福岡県飯塚市出身の元プロゴルファー及び元プロ野球選手（捕手）で、プロ野球時代の登録名は「藤池 昇」です。彼の経歴は、特異な道を辿ったスポーツ選手としての象徴的な物語と言えます。

来歴・人物

藤池は子供の頃から野球に没頭し、福岡で強豪として知られる飯塚商業高校に進学。その後、膝の状態が悪化したために捕手から一塁手にポジション転向の苦難を経験しました。しかし、身体能力に優れ、打撃練習での100m以上の打球を飛ばす力があったため、大洋ホエールズのスカウトの目に留まります。

高校卒業後、彼は大学で野球を続けることを希望して早稲田大学と明治大学のセレクションを受けていましたが、最終的には1971年のドラフトで9位指名を受けて大洋ホエールズに入団。プロ野球選手という夢を叶えようと奮闘しましたが、足の怪我によって出場の機会を失いました。しかし、彼の人生はここで終わることはなく、その後の挑戦が始まります。

1973年、同チームの山本恒敬との交換トレードで日拓ホームフライヤーズに移籍しました。彼は膝の故障を抱えつつも俊足を活かして外野手としてプレーしていましたが、1974年に右膝半月板を痛め、手術も考えられましたがそのまま同年限りで現役引退を余儀なくされました。

プロゴルファーへの転身

野球選手としてのキャリアの終焉は、新たな始まりを告げるものでした。彼は練習中にゴルフに対する才能を見出され、プロゴルファーとしての道を志すことに決めました。引退後、麻生飯塚ゴルフ倶楽部で藤井義将に弟子入りし、プロ入りまでの3年10ヶ月間で数えきれない素振りを重ねながら、1978年にプロテストに四度目の挑戦で合格。異例の早さでプロゴルファーとしてのキャリアをスタートさせました。

29歳でアジアサーキットのシード権を手に入れ、1983年にはメギョンオープンで9位タイに入りました。その後、山口オープンや東急大分オープンなどで初優勝を果たし、絶好調を迎えた1983年に九州オープンでツアー初優勝を達成。しかし、この成功の直後に左目の網膜剥離により大きな試練が待ち受けていました。

苦境と再起

手術を2回受け、50日余りの入院生活を強いられるも、藤池は復帰を目指してトレーニングを続けました。彼は「自分は大器晩成型だ」と自らを鼓舞し、1984年のかながわオープンでは初日から首位に立つなど善戦。しかし、その後KBCオーガスタでイップスに苦しむことになり、アメリカから取り寄せた長尺パターの使用がきっかけで克服していきます。

1993年には昇龍と改名し、更には筑紫ヶ丘ゴルフクラブに移籍。その後も多くの優勝を重ね、特に1998年には44歳で日本最少ストロークの新記録を樹立し、「ミスター・シックスティー」と称されました。

最後の数年

50歳でシニアに転向した藤池は、数々の大会で優勝を果たしましたが、年齢と共に病との戦いも続きました。脳梗塞や心臓手術を経験し、度々健康を損ねましたが、2013年にはTVQシニアオープンで優勝を果たし、その後も日本プロゴルフ協会の理事として活動。63歳という若さで2017年にこの世を去るまでも、彼のスポーツへの情熱は変わることはありませんでした。

藤池昇龍の人生は、数々の試練や挑戦を乗り越え、晩年に新たな成果を見出した物語です。彼の情熱と努力は、今後の世代にとっても大きなインスピレーションとなるでしょう。

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