藤波畷の戦い

藤波畷の戦い

藤波畷の戦い（ふじなみなわてのたたかい）は、永禄4年（1561年）9月13日、愛知県西尾市に位置する東条城を巡る戦闘の一つで、東条吉良氏と松平元康（後の徳川家康）との間で繰り広げられました。この戦いでは、吉良氏の家老である富永忠元が討たれ、吉良義昭は降伏することとなりました。

背景

この戦闘の背景には、今川義元の死があります。松平元康は今川氏からの独立を図り、1561年4月から東条吉良領への侵攻を始めます。彼は牛久保城や東条城への攻撃を仕掛け、自らの勢力を拡大しようとしていました。しかし、東条城は強固な城であり、すぐには陥落しませんでした。元康は同年6月に松井忠次、本多広孝、小笠原長茲を任命し、それぞれの砦を配置して東条城を包囲する準備を整えました。しかし、吉良家の家老である富永忠元もまた激しく抵抗しました。

戦の経過

1561年9月13日、ついに松平元康の軍が行動を開始します。本多広孝と松井忠次が砦を出て藤波畷に向かう際、本多は自身の鎧の上帯の結び目を切り、本気で臨む姿勢を示しました。彼らは進軍する中、富永忠元も孤独に前に出て戦おうとしましたが、松平軍に囲まれてしまいました。その結果、富永は松平方の大久保大八郎や鳥居半六郎と共に抗戦しましたが、残念ながら忠元は戦いに敗れ、本多広孝に討たれてしまいました。

この戦いで、元康は難敵富永忠元を討ち取った広孝を褒め称え、忠元の領地を彼に与えることにします。失った忠元により吉良義昭は戦意を喪失し、東条城を降伏して開城しました。富永忠元はその勇敢な戦いぶりから名を馳せており、彼の死は多くの人々に惜しまれました。

戦後の影響

訴えられた本多広孝は、藤波畷に忠元を供養するための塚を築きました。後にこの場所は伴五郎塚と呼ばれるようになり、現在では「伴五郎地蔵」として知られる地蔵菩薩像が戦死者のために祀られています。

富永忠元の死後、彼の叔父である資広が松平氏に降伏し、彼もまた松平元康に仕官しました。資広はその後、忠吉の下で仕官し、彼の子孫は尾張徳川家の家臣団の一部として数えられるようになりました。

参加武将

戦いには多くの武将達が参加し、それぞれが重要な役割を果たしました。彼らの奮戦は今なお語り継がれています。こうした歴史を知ることは、当時の情勢や武将たちの思いを理解する上で非常に重要です。

このように藤波畷の戦いは、吉良氏と松平元康の間での激しい戦闘を通じて、戦国時代の権力の移行を象徴する重要な出来事とされています。

もう一度検索