本多広孝

本多広孝



本多広孝(ほんだ ひろたか)は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将で、徳川氏の家臣として活躍しました。三河国碧海郡土居郷(現在の愛知県岡崎市)に生まれ、幼名は彦三郎と称しました。父は本多信重で、広孝は嫡男として生まれました。

生い立ち



広孝の生誕は1528年。しかし、幼少期に父・信重が戦死したため、苦難の道を歩むことになります。それでも、松平宗家(後の徳川家)への忠誠を貫き、松平広忠から偏諱を受けて「広孝」と名乗るようになりました。

今川氏の下での活躍



当時、松平氏は今川氏の支配下にありました。広孝は今川氏の先鋒として、織田氏との戦いで活躍します。特に、人質となっていた松平竹千代(後の徳川家康)の奪還に尽力し、安祥城を奪還する功績を挙げました。その後も、今川義元に竹千代の帰還を嘆願し続けましたが、義元の存命中には実現しませんでした。

徳川家康を支える



1560年、桶狭間の戦いで今川義元が討たれると、松平元康(後の徳川家康)が岡崎に戻り、独立の動きを見せます。広孝は、家康の家臣として、領地回復のために奔走しました。特に、1561年の藤波畷の戦いでは、劣勢だった松平軍を立て直し、吉良氏を降伏させるという大きな功績を挙げました。この戦いで、富永忠元を討ち取ったことは、広孝の武勇を示す逸話として語り継がれています。

その後も、1563年三河一向一揆では、自らも戦いながら嫡子・康重を人質として差し出すなど、家康への忠誠を示しました。さらに、東条城を攻め落とすなど、各地での戦いでその武勇を発揮しました。

田原城主として



1564年、広孝は東三河進攻で田原城を攻略し、その功績によって、家康から田原城を与えられました。田原城主となった広孝は、徳川譜代の家臣として、その先駆けとなりました。以後、関東移封まで田原城を治めました。また、武田信玄との三方ヶ原の戦いでは、浜松城から退却する味方の殿軍を務め、被害を最小限に抑える活躍を見せました。

1573年奥平氏を保護し、武田氏の勢力を駆逐するなど、徳川家の勢力拡大に貢献しました。1575年の長篠の戦いでは、鳶の巣山砦を攻略し、勝利に貢献しました。

1577年、広孝は家督を嫡男の康重に譲り、第一線から退きます。

関東移封と晩年



1582年、本能寺の変後、広孝は康重と共に甲州征伐に参加。1583年には従五位下・右兵衛佐に叙位されます。1584年小牧・長久手の戦いでは、小幡城を守備。1590年、徳川家康が関東に移封されると、康重は上野国白井城主となりました。広孝も共に白井に移り住みます。

1597年、広孝は70歳でその生涯を閉じました。

本多広孝の兵力



田原城主時代、広孝の兵力は以下の通りでした。

土井衆:30騎
吉良衆:26騎
田原衆:54騎
その他:5騎

合計115騎(雑兵等を含めると総勢500名程度と推定されます)。

系譜



父:本多信重
母:不詳
正室:松平義春の娘
嫡男:本多康重
* 子女:本多重純、松平康直室

本多広孝は、その勇猛さと忠誠心によって、徳川家の発展に大きく貢献した武将でした。その生涯は、後世に語り継がれるべきものと言えるでしょう。

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