牛久保城

牛久保城の歴史と遺構

牛久保城（うしくぼじょう）は、愛知県豊川市に存在した平城で、その歴史は戦国時代に鮮やかに彩られています。この城は、かつて三河国の牛久保町に築かれ、当初は牧野出羽守保成によって建設されました。天正18年（1590年）に牧野康成が徳川家康の関東移封に従って移動した後、牛久保城は豊臣家臣池田輝政の支城となり、その重臣である荒尾成久が城主として治めることになりました。

牛久保城は慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いの後、周辺地域が天領に指定され、城郭の一部が代官所として利用されていましたが、元禄13年（1700年）には廃城となり、その姿を消しました。

遺構の現状

かつての牛久保城は、豊川の古い河岸段丘を利用して作られた、二重の水堀を有する平城でした。しかし現在は、その城域がJR飯田線の牛久保駅や周辺の住宅地に変わり果てており、遺構はほとんどなくなってしまいました。それでも、城跡の近くには城跡や城下、大手の小字といった名残が残っており、かつての盛況をしのぶことができます。過去の発掘調査では堀の遺構が確認されており、城の裾野を感じ取る手がかりとなっています。

牛久保衆の構成

牛久保衆は、城主・牧野氏を中心とした武士団で、直臣団や寄騎、地侍によって構成されていました。『牛窪記』や『家忠日記』には牛久保衆の情報が記されており、牧野氏の軍団を指す一般的な名称として使用されていたことがわかります。

寄騎には、牧野山城守や野瀬丹波守、岩瀬和泉、真木越中守などが名を連ね、重臣として重要な地位を占めていました。また、一門衆には牧野一族の名前が多く見られ、彼らは寺社の棟札や古文書において確認されています。

さらに、牛久保城古図には約40名の人名が記載されており、これらの人々が城主牧野氏の家臣であった可能性が示唆されています。城域内において彼らの地位を示す文献は少ないものの、牛久保衆の主要構成員として存在していたことは間違いありません。

牛久保城の戦い

牛久保城は、戦国時代において直接攻撃を受けた記録が少ないものの、特に永禄4年（1561年）4月には、徳川家康による奇襲攻撃があったことが知られています。この攻撃は、今川氏の拠点である牛久保城を狙ったもので、当時の城主牧野成定は西尾城に在番しており、留守を任された稲垣重宗は手薄な防備で城を守っていました。家康の夜襲は一時的に成功し、城は危機的な状況に陥ったものの、真木氏の奮闘によって城は保持されました。

この戦いの結果、徳川家康は失敗を喫し、事態は今川氏との同盟関係に変化をもたらしました。牛久保城はその後も今川氏反撃の拠点となり、多くの戦闘が繰り広げられましたが、最終的には永禄9年（1566年）にまで落城することはありませんでした。

アクセスと名所

牛久保城はJR飯田線の牛久保駅から徒歩ですぐの位置にあります。城址は現在は石碑で示されており、訪れる人々に歴史を伝えています。また、周辺には今川義元の胴塚や一色時家の墓所、山本勘助の遺髪の塚といった歴史的名所が点在しています。特に牛久保八幡社や牛久保のナギは地域の文化と自然を代表する存在であり、訪れる際には是非立ち寄りたい場所です。

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