藤野町営バス

藤野町営バスの概要

藤野町営バスは、神奈川県藤野町が運行していた公共交通機関で、2007年3月10日をもってその運行を終了しました。このバスは当初、津久井神奈交バスに運行が引き継がれる形で廃止され、その後は神奈川中央交通の一般路線に統合されました。

背景と運行状況

藤野町（当時）の公共交通は、主に神奈川中央交通が担っており、藤野駅から東野方面へ向かう路線がありました。しかし、時代の流れとともにモータリゼーションの進展や人口減少が進み、バスの利用者数は次第に減少していきました。これを受けて、神奈川中央交通は厳しい経営状況に対処するため、子会社である津久井神奈交バスに路線を移管するなどの施策を講じましたが、利用状況の改善には至りませんでした。

2001年9月には、藤野駅を発着する路線の一部が津久井神奈交バスに引き継がれ、該当路線については実験的に運行が行われることになりました。さらに2002年には、新たに町が運行を担当する「道路運送法80条代替バス」に移行し、路線の再編が進められました。この時点で一部の路線が廃止され、新たな町営バスの運行形態が確立されることとなりました。

2007年には藤野町が相模原市に編入され、運行形態も大きな変更を迎えました。これにより藤野町営バスは廃止され、相模原市による路線バスとしての運行が開始されました。これに伴い、運行経費の一部を相模原市が負担することが決まり、新たに津久井神奈交バスが運行事業者として選定されたことで、地元の交通ネットワークは大きく変わりました。

路線と運賃

藤野町営バスの運行本数は限られており、運賃は前払い制でした。地域内の利用状況もあまり活況を呈しておらず、バス路線沿線は山が多く、交通の便が良いとは言えませんでした。運賃は距離に応じて100円から200円の範囲で設定され、町営バスの定期券も利用できました。

具体的な運行ルートとしては、やまなみ温泉から始まり、菅井、長又、奥相模湖、東野と続く路線がありました。そのほかにも、やまなみ温泉から釜沢、篠原に向かう路線と、篠原から赤沢への朝の便が運行されていました。これらの路線は、地元住民や観光客にとっての重要な交通手段でありましたが、依然として利用者数は限られたものでした。

利用状況と車両

2005年度のデータによると、1日あたりの乗客数はごくわずかで、最も利用者が多かったやまなみ温泉から奥相模湖への路線でもわずか28.6人程度でした。そのため、バスの運転本数は制限され、休日には需要に応じてワゴン車が使用されることもありました。これにより、町が保有するワゴン車が運行に当たるケースも存在しました。

バス内部には運賃箱や放送装置を設置しないシンプルな作りであったため、快適さや運行の効率性を求めた利用者には物足りなさを感じさせることもあったかもしれません。

結論

藤野町営バスは、地域交通の重要な役割を果たしていましたが、利用者の減少や経営の厳しさから運行を続けることが難しくなり、最終的には津久井神奈交バスに代替された形でその歴史に幕を閉じました。藤野町の風景の中で地域住民の移動手段を支えてきたその存在は、今では過去のものとなっていますが、地域交通の在り方についての教訓も残したといえるでしょう。

もう一度検索