津久井神奈交バス

津久井神奈交バス

津久井神奈交バスは、「つくいかなこうバス」と読まれ、かつて神奈川県相模原市緑区三ケ木に本社を構え、主に同市内の旧津久井郡エリアにおいて乗合バス事業を展開していた会社です。神奈川中央交通株式会社が地域に根ざしたサービス提供を目指して分社化した「神奈交バス」グループの一員として誕生しました。

設立とその背景

設立は1999年（平成11年）7月2日。これは神奈交バス各社の中では、湘南神奈交バスに続いて二番目に設立された会社にあたります。親会社である神奈川中央交通の営業エリアのうち、特に旧津久井郡地域における運行を担う目的で設立されました。これにより、地域の実情に即した柔軟なサービス提供が期待されました。

事業内容と運行エリア

事業開始にあたり、津久井神奈交バスは神奈川中央交通相模原営業所が管轄していた路線の一部を引き継ぎました。具体的には、三ケ木および城山の両操車所を拠点とする路線が移管され、自社路線として運行を担いました。また、自社路線の運行に加え、神奈川中央交通本体の所管する路線の運行業務を受託することも行っており、グループ内での連携を通じて旧津久井郡地域の公共交通を支えました。

本社と営業拠点

本社機能は、相模原市緑区三ヶ木331番地に置かれた津久井営業所内にありました。この場所は神奈川中央交通相模原営業所の三ヶ木操車所の中に設けられており、物理的にも親会社との密接な連携体制が構築されていました。津久井神奈交バスは、この三ヶ木操車所と城山操車所（相模原市緑区城山3-4-26）の両方を、親会社から全体管理を受託する形で運営していました。地域の主要な交通結節点である「三ケ木」停留所（現在の三ケ木バスターミナル）が最寄りであり、多くの路線が発着する拠点となっていました。

車体と識別

津久井神奈交バスが運行する車両の車体は、グループ共通の神奈交バスカラーの中でも、深緑色をコーポレートカラーとして採用していました。この特徴的な色彩は、地域の風景にも溶け込むようデザインされていたと考えられます。また、自社で保有する車両には、営業所を示す記号として「T」のアルファベットが表記され、他の営業所やグループ会社との識別が可能となっていました。

保有車両

2016年時点では、様々なサイズの車両を保有し、路線の特性に応じて使い分けていました。大型車としては三菱ふそう・エアロスターが5台、中型車としては三菱ふそう・エアロミディMKが4台（うち2台はワンステップバスで神奈交カラーをまとっていました）といすゞ・エルガミオが2台在籍していました。また、狭隘路線などに対応するため、小型車の日野・ポンチョも3台保有しており、これらは当時神奈交カラーでしたが、後に神奈中カラーに変更されています。

組織再編による終焉

2017年1月1日、神奈川中央交通グループはバス事業の抜本的な再編を実施しました。この再編に伴い、津久井神奈交バスは湘南神奈交バスに吸収合併される形でその歴史に幕を閉じました。吸収合併後の湘南神奈交バスは、同日付で「神奈川中央交通西株式会社」へと社名を変更し、津久井神奈交バスが担っていた事業、保有していた車両、そして運行していた路線は、そのまま神奈川中央交通西の事業として引き継がれました。こうして、津久井神奈交バスは単独の法人としては消滅しましたが、その事業は後継会社に引き継がれ、引き続き旧津久井郡地域におけるバスサービスを支えています。

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