藻岩発電所

藻岩発電所

藻岩発電所は、北海道札幌市南区に位置する北海道電力の水力発電所です。札幌市街地に最も近い場所にあります。

概要

1936年9月に運転を開始した藻岩発電所は、簾舞地区の豊平川に建設された藻岩ダムを水源としています。ダムから発電所までは、約10.4キロメートルの地下水路で結ばれており、水路はさらに旧藻岩浄水場まで約13キロメートルにわたって延びています。

発電所には3基の水力発電機が設置されており、合計出力は約12.6MWです。発電に使用された水は、発電所の下を流れる山鼻川へと放流され、最終的には豊平川へと還流します。ただし、一部は札幌市の水道水としても利用されています。

藻岩発電所周辺は、山鼻川の河川改修に伴い公園として整備され、一般に開放されています。しかし、発電所内部の見学は、特定の分野を学ぶ北海道の学生などに限定されています。

建設時の強制労働

1936年、札幌市が上水道整備を進める中で、電力会社も施設建設への参入を試みました。その結果、北海道電力の前身である「北海水力電気」によって藻岩発電所が建設されました。

当時の藻岩発電所は、先行する水力発電所と比較して大規模なものでしたが、工事は困難を極めました。発電所と浄水場の建設には、朝鮮人や日本人が強制連行され、劣悪な環境下での労働を強いられました。その結果、約3年間で34名もの犠牲者が出たとされています。

発電所近くには、強制労働の犠牲者を追悼するための「殉職者之碑」が建てられています。また、南30条西10丁目には、同様の目的で「藻岩犠牲者の碑」が1994年6月に建立されました。

藻岩浄水場水力発電所

藻岩発電所とは別に、現在の藻岩浄水場も1984年から水力発電を行っています。取水場と浄水場の間の約45メートルの高低差を利用したもので、2007年9月には発電設備が更新されました。

藻岩浄水場水力発電所の水源は豊平川であり、藻岩ダムから藻岩導水トンネルを通して引かれた水を使用しています。2007年9月以降の出力は約0.4MWです。発電された電力のうち、約5割が浄水場内で消費され、約1割が札幌市水道記念館で消費されます。残りの3割強は北海道電力へ売電されています。使用された水は、札幌市の水道水として利用されています。

2007年には、「藻岩発電所・取水堰」が土木学会選奨土木遺産に選ばれました。

参考文献

青木由直編著『札幌秘境100選』マップショップ、2006年10月。ISBN 4-9903282-0-5
谷口正春、露口啓二（写真）『札幌アートウォーク』北海道新聞社、2009年12月19日。ISBN 978-4-89453-531-2

関連項目

札幌市水道局 - 発電に使用した水の一部を水道水として利用しています。
十五島公園 - 藻岩発電所へ送水している藻岩ダムの放水によって、本公園で1973年に死者が発生しました。

外部リンク

* 資源エネルギー庁 - 藻岩発電所

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