蘇味道

蘇味道（そ みどう、648年 - 705年）は、中国・唐代の詩人であり、趙州欒城県（現在の河北省石家荘市欒城区）の出身です。若くして文才を発揮し、同じく詩人である李嶠（り きょう）と共に「蘇李」と並び称されるほどの才能を持っていました。

蘇味道は、若い頃からその文名が高く、才能を認められていました。彼は、突厥（とっけつ）族征討の軍に書記として参加し、その能力を高く評価されます。則天武后（そくてんぶこう）の時代、聖暦の初め（698年頃）には、ついに宰相という地位にまで上り詰めました。

しかし、宰相となった蘇味道は、明確な政策を持たず、自ら「宰相は決断してはならぬ、ただ模稜（ごまかし）していればよいのだ」と公言したと伝えられています。このことから、彼は「模稜宰相」と呼ばれるようになりました。つまり、物事をはっきりとさせず、曖昧な態度を取り続ける宰相という、皮肉を込めた評価を受けたのです。

また、蘇味道は私生活においても、宰相にあるまじき行為が多かったとされています。例えば、親の墓を建設しようとした際に、人民の墓地を壊して土地を確保したという逸話が残っています。このような行いが重なり、彼は宰相の地位を罷免されることとなりました。

則天武后の政権が倒れると、蘇味道は眉州（びしゅう）刺史（現在の四川省眉山市）に流罪となり、さらに益州（えきしゅう、現在の四川省成都市）へ移送される途中で亡くなりました。彼の晩年は、不遇であったと言えるでしょう。

蘇味道の兄弟には、太子洗馬（とうぐうせんば）を務めた蘇味玄（そ みげん）がいます。また、彼の子孫には、北宋の文人である蘇洵（そ じゅん）がいます。蘇味道の血筋は、後世にも受け継がれていったのです。

親族
兄弟:
蘇味玄（太子洗馬）
子女:
蘇佃（膳部員外郎）
蘇份（蘇洵の先祖）
蘇倜（兗州刺史）
蘇倇（職方員外郎）

蘇味道は、詩人としての才能を持ちながらも、政治家としては毀誉褒貶の激しい人物でした。彼の生き方は、現代においても様々な教訓を与えてくれるでしょう。

参考文献
『旧唐書』巻九十四 列伝第四十四「蘇味道伝」
* 『唐詩選』（版：岩波文庫、註解：前野直彬）

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