蘇昱彰

蘇昱彰（そ いくしょう）

蘇昱彰（1940年6月24日 - 2019年4月29日）は、台湾出身の中国武術家、そして東洋医学者としても知られています。彼は、人気漫画『拳児』（小学館）に登場するキャラクター、「蘇崑崙（そ こんろん）」のモデルとなった人物です。

生涯

蘇昱彰は1940年、日本統治時代の台湾、台南県東山郷で生まれました。父は著名な野球選手であった蘇正生。正生は甲子園にも出場した嘉義農林学校の選手でした。幼少期から武術に親しみ、7歳で張徳奎に師事し秘門螳螂拳を学び始めました。14歳で台湾で開催された第1回全国散打試合に出場し、見事優勝。その後も数々の散打試合で入賞を果たし、その卓越した拳速から「閃電手」という異名で呼ばれるようになりました。

台北に移ってからは、李崑山や衛笑堂など、螳螂拳の各流派における名師に師事し、修行を重ねました。20歳を過ぎる頃には、秘門螳螂拳の権威として認められるようになります。1961年には、国術研究会の師範として、国立台湾大学、国立台湾師範大学、私立輔仁大学、逢甲工商学院といった名門大学で中国武術を指導しました。

1963年には、神槍と称された李書文の弟子である劉雲樵に師事し、八極拳、劈掛掌、六合螳螂拳、八卦掌といった多様な武術を習得しました。1968年には、マレーシアで開催された国際格闘技選手権に台湾代表チームの一員として参加し、金メダルを獲得。その実力は国際的にも高く評価されました。

1976年、ベネズエラの華僑からの要請を受け、カラカスに移住。中医医院と武館（道場）を開設し、医療と武術の両面から現地の人々の健康に貢献しました。1991年にはスペインへ移住し、翌年のバルセロナオリンピックでは特別治安部隊に螳螂拳を指導し、警備体制の強化に貢献しました。その後、八極螳螂拳を創始し、ニューヨークへ拠点を移し、八極螳螂武藝總舘を開設。館長として、世界各地の分館を指導しました。

蘇昱彰の正式な弟子は、アメリカ、カナダ、南米、スペイン、オランダ、イギリス、ノルウェー、台湾、日本など、世界各国に存在します。日本からは、松田隆智や八極螳螂武藝總舘日本分舘の分舘長である野田久貴が師事しています。

著書には、『拳藝論』（BABジャパン）や『太極拳内景経』（壮神社）などがあり、映像作品も多数販売されています。また、東洋医学の博士号も取得しており、ベネズエラの大学で教鞭を執ったり、台湾の軍事学校でインストラクターを務めるなど、教育者としても活躍しました。

2016年10月、療養のため、医師である娘が住むスペイン領カナリア諸島へ移住。2019年4月29日、同地のサンタ・クルス・デ・ラ・パルマで逝去しました。享年78歳。

著作物

書籍

蘇昱彰、野田久貴　『気の力を覚醒させる太極拳』- [フルコム編] 東邦出版、2009年
蘇昱彰、野田久貴　『閃電手蘇昱彰　螳螂拳秘法』- BUDO-RA Books 東邦出版、2007年
蘇昱彰、野田久貴　『太極拳内景経』- 壮神社、2004年12月
蘇昱彰、野田久貴　『拳藝論（螳螂拳編）』- BABジャパン、2002年8月

ビデオ

螳螂拳―基礎編―、株式会社ジェイ.イー.エス
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