蘇部健一

蘇部健一

蘇部健一（1961年 - ）は、日本の小説家、推理作家として知られています。2012年には、作家・清涼院流水が立ち上げたプロジェクト「The BBB」に参加し、活動の幅を広げています。

経歴

東京都出身。早稲田大学教育学部英語英文学科を卒業後、1997年に連作集『六枚のとんかつ』で第3回メフィスト賞を受賞し、デビューを果たしました。この作品は、発表当時から賛否両論を巻き起こし、その斬新な作風が注目を集めました。

作風と評価

蘇部は、ミステリー界において「異才」「異能作家」と評されることがあります。初期には、アイデアを重視した推理短編を多く発表していましたが、近年では、センチメンタルなSF作品にも挑戦し、高い評価を得ています。作者自身も、後書きでSF作品への自信を語っています。

処女作は、鮎川哲也が編集したアンソロジー『本格推理(7)』に収録された短編『しおかぜ⑰号四十九分の壁』。この作品は「我妻起成」名義で発表されました。

人物

メフィスト賞作家である黒田研二と親交が深く、『木乃伊男』の解説を黒田が担当しています。黒田のホームページによると、彼の姪が蘇部健一のファンであるとのことです。

エピソード

『動かぬ証拠』の後書きには、ミステリー界初の「音の出る推理小説」「飛び出す推理小説」を企画し、講談社文庫の編集者にサンプルを送ったものの、コストの問題から実現には至らなかったというエピソードが語られています。企画された「音の出る推理小説」は、後に『動かぬ証拠』に「変化する証拠」として収録されました（ただし、音は出ません）。

また、児童向けの作品も手掛けており、『ふつうの学校』シリーズや『恋時雨』などが、青い鳥文庫やYA!ENTERTAINMENTといったレーベルから出版されています。

主な著作

六とんシリーズ

六枚のとんかつ （1997年、講談社ノベルス / 1998年、講談社ノベルス<改訂新版> / 2002年、講談社文庫）
六とん2 （2005年、講談社ノベルス / 2008年、講談社文庫）
六とん3 （2007年、講談社ノベルス）
六とん4 一枚のとんかつ （2010年、講談社ノベルス）

ふつうの学校シリーズ

ふつうの学校 ―稲妻先生颯爽登場！！の巻― （2003年、講談社青い鳥文庫）
ふつうの学校(2) ―ブラジャー盗難事件の巻― （2004年、講談社青い鳥文庫）
ふつうの学校(3) ―朝の読書はひかえめに の巻― （2005年、講談社青い鳥文庫）

その他の作品

長野・上越新幹線四時間三十分の壁 （1999年、講談社ノベルス / 2003年、講談社文庫）
動かぬ証拠 （2001年、講談社ノベルス / 2004年、講談社文庫）
木乃伊男 （2002年、講談社ノベルス / 2005年、講談社文庫）
届かぬ想い （2004年、講談社ノベルス / 2008年、講談社文庫）
恋時雨 （2006年、YA!ENTERTAINMENT）
赤い糸 （2009年、早川書房 / 2013年、徳間文庫）
古い腕時計 きのう逢えたら…（2011年、徳間書店 / 2013年、徳間文庫）
まだ恋ははじまらない…（2012年、PHP研究所）
運命しか信じない！（2014年、小学館文庫）
小説X あなたをずっと、さがしてた（2018年、小学館）
【改題】あなたをずっと、さがしてた（2020年、小学館文庫）


蘇部健一は、ミステリー界にとどまらず、幅広いジャンルで才能を発揮している作家として、今後の活躍も期待されています。

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