虹の設計

虹の設計

『虹の設計』（にじのせっけい）は、日本のテレビドラマで、1964年4月6日から1966年3月28日まで、NHK総合テレビにて放送されていました。主演は俳優の佐田啓二で、全103話にわたるストーリーが展開されました。このドラマは、当時の日本の高度経済成長期における建設ラッシュの一環として、特に天草五橋の建設を題材にしたものとして注目されました。

あらすじ

物語は、熊本県の宇土半島と天草諸島を結ぶ「天草五橋」の建設という壮大なテーマを中心に展開します。この橋は、アーチ型の美しいデザインで「虹」に例えられ、その名にふさわしい存在となります。物語の中心人物、一戸圭介は設計技師としてこのプロジェクトに携わり、彼の周囲には多くの人々が絡み合い、様々な人間ドラマが形成されます。

作中では、一戸は取引先の専務が事故で亡くなるという衝撃的な事件に直面し、立場上証言することができずに苦悩します。このような困難な状況の中で、彼の職業倫理や人間関係が試され、その成長と葛藤が描かれます。

また、ドラマは、当時の産業界や建設業においてはあり得ない引抜き合戦や複雑な人間関係をも描写し、視聴者にリアルな時代背景を提供します。業界の中での夢や挫折、愛や友情のテーマが絡み合い、観る者を引き込む内容となっています。

キャスト

この作品には多くの著名な俳優や女優が出演しました。一戸圭介役の佐田啓二は、技術者の苦悩と成長を力強く演じました。彼の同僚や関係者も多彩なキャラクターを持っており、長門裕之演じる土井武は黒部第四ダムでの経験を持つ土木技師として登場します。

その他、高千穂ひづるが演じる津久井夏子や、八千草薫が演じる篠原小夜など、各人物の人間関係や感情も深く描かれています。特に、津久井夏子が一戸に抱く愛情や、篠原小夜の複雑な心情は、物語の大きな要素となっています。

制作と映像の現存状況

本作は、北条誠が脚本を手がけ、近藤晋や中山三雄、畑中庸生らが演出を担当しました。音楽は広瀬健次郎の手によるもので、ドラマの雰囲気を一層引き立てました。

残念ながら、主演の佐田啓二が途中で事故死してしまったため、彼の残りのシーンはVTRから編集され、ストーリーにも一部変更が加えられました。NHK公式の記録によると、映像自体は現存していないものの、1964年3月22日放送の「放送記念日特集 世界を結ぶNHK」でその撮影風景が映し出されたとされています。

まとめ

『虹の設計』は、そのストーリー展開やキャストの演技、そして当時の社会背景を融合させた作品として、多くの視聴者に記憶され続けています。社会の変革期における人々の苦悩と希望を描くこのドラマは、見る者に強いメッセージを投げかけます。

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