蛇の崎橋

蛇の崎橋：歴史と文化が息づく、横手のシンボル

蛇の崎橋は、秋田県横手市に位置し、横手川に架かる美しい橋です。日本百名橋にも選ばれており、その景観は多くの人々を魅了しています。かつては羽州街道の一部として「下の橋」とも呼ばれ、横手城下における重要な役割を担っていました。

概要

横手城下において、蛇の崎橋は外町と武家町を結ぶ三大橋の一つでした。特に参勤交代制度の開始以降、羽州街道を通る人々の往来が増加し、橋の重要性が高まりました。その結果、蛇の崎橋はより堅牢で立派な橋へと改築され、現在に至ります。

現在の橋は2001年（平成13年）に架け替えられたもので、都市計画道路の敷設に伴い、以前の橋から少し下流に位置しています。橋の周辺では、古くから様々な祭りが開催されており、特に毎年8月に行われる「送り盆まつり」は、享保の大飢饉で亡くなった人々を供養するために始まったとされ、屋形舟同士が激突する様子は圧巻です。また、7月には「よこての全国線香花火大会」、2月の横手の雪まつり期間中には、橋の下の川原に約3500個のミニかまくらが作られ、幻想的な光景が広がります。

歴史

蛇の崎橋が初めて架けられた時期は定かではありませんが、後三年合戦の際に源義家が橋ごと落とされたという伝承が残っており、少なくとも900年以上前には橋が存在していたと考えられています。橋の名前は、かつてこの地にあった「蛇の崎淵」に由来するとされ、大蛇と河童の争いや産女の妖怪といった伝説も語り継がれています。

江戸時代の旅行家・菅江真澄は、自身の紀行文『雪の出羽路』で横手の橋について触れており、その中で「下」の橋として蛇の崎橋を紹介しています。1669年（寛文9年）の絵図にも、すでに3つの橋が描かれており、当時の橋は木造で、洪水などで何度も流失していたと考えられています。

旧蛇の崎橋

1931年（昭和6年）に架けられた旧蛇の崎橋は、県内初のゲルバー橋として知られていました。しかし、老朽化や事故などにより架け替えが決定され、都市計画道路の建設と合わせて新たな橋が建設されることになりました。

架け替えに際しては、橋の存続を求める地元住民との間で議論が交わされましたが、最終的には都市計画道路の一部として、新たな蛇の崎橋が建設されることになりました。

新しい蛇の崎橋

1999年（平成11年）に着工し、2001年（平成13年）に完成した現在の蛇の崎橋は、片側2車線の道路橋として、両側に広い歩道が整備されています。橋の全長は99メートル、幅は22メートルで、歩道には白御影石のタイルが使用され、高欄の親柱には横手の四季をイメージした絵が彫られています。

橋の開通式では、テープカットや渡り初めなどの式典が行われ、多くの人々が新しい橋の完成を祝いました。また、旧蛇の崎橋では渡り納めが行われ、70年の歴史に幕を閉じました。現在、旧橋の跡地には記念碑が建てられています。

蛇の崎橋は、単なる交通手段としてだけでなく、横手の歴史や文化を伝えるシンボルとして、これからも大切にされていくことでしょう。

隣の橋

横手川

(上流) - 学校橋 - 中の橋 - 蛇の崎橋 - 碇大橋 - 大鳥居橋 - (下流)

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