蛙子池

蛙子池（かえるごいけ）

蛙子池は、香川県小豆郡土庄町肥土山に位置する、豊かな水を湛えるため池です。その総貯水容量は63万4000立方メートルに及び、小豆島における重要な水資源として、地域を潤し続けています。2010年（平成22年）には、農林水産省が選定する「ため池百選」にも選ばれ、その価値が広く認められました。

歴史と概要

蛙子池は、小豆島最大の面積を誇るため池です。江戸時代の1683年（天和3年）に、「大田伊左衛門典徳」という人物が、当時の倉敷代官所に対して築造を嘆願したことが始まりです。背景には、二級河川である伝法川沿いの地域における深刻な水不足がありました。典徳の熱意が実り、池の築造が開始されました。

しかし、銚子渓の上の台地という地形条件が、工事を非常に困難なものにしました。人夫の脱落が相次ぐ中、典徳は私財を投じて資金を調達し、人夫集めに奔走しました。その献身的な努力の末、ついに1683年（天和3年）に池は完成し、現在に至るまで200ヘクタール以上の農地を灌漑し続けています。

肥土山農村歌舞伎

蛙子池の築造は、地域に根差した文化も育みました。困難を極めた工事の様子は、「肥土山農村歌舞伎」として語り継がれています。この歌舞伎は、農業の後継者育成と伝統芸能の保存という点で高く評価され、「第7回むらの伝統文化顕彰」において農林水産大臣賞（最優秀賞）を受賞しました。

歌舞伎の起源は、池が完成した年の6月15日に行われた「ユルぬき」に遡ります。池から肥土山地区まで水が流れ着いたのを見た村人たちが、その喜びを分かち合うために、肥土山離宮八幡宮の境内に仮設の舞台を建て、役者一座による芝居を催したのが始まりとされています。現在の舞台は、1900年（明治33年）に建て替えられたもので、茅葺き寄せ棟造りの趣のある建物です。屋根には、蛙子池周辺で採取された茅が使用されています。

アクセス

蛙子池へは、小豆島スカイラインを利用してアクセスできます。豊かな自然に囲まれた池の周辺は、ドライブや散策にも最適です。

脚注

ため池百選
蛙子池 - 香川県
蛙子池 - 【ダム便覧】

関連項目

土庄町
ため池百選

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