蜘蛛駕籠

蜘蛛駕籠（くもかご）

概要

蜘蛛駕籠は日本の古典落語の一つで、別名として住吉駕籠（すみよしかご）とも呼ばれています。この演目は、元々上方落語に属し、住吉大社を舞台にした物語が元になっています。後に初代柳家小はんによって東京に持ち込まれ、以降、さまざまな演者によって演じられるようになりました。また、類話として雀駕籠（すずめかご）もあり、こちらは別の視点から同じようなテーマを扱っています。

主な演者

東京では、5代目柳家小さんや三遊亭小遊三、桂宮治といった著名な演者たちが、また上方では6代目笑福亭松鶴や3代目桂米朝などが得意とする演目となっています。彼らの独特の語り口や表現力が、この演目を一層魅力的にしています。

あらすじ

物語は、鈴ヶ森（現在の品川区南大井）で始まります。駕籠屋、通称雲助（くもすけ）は、暇を持て余して客待ちをしています。その間に、彼は色々な客、例えば武士や酔っ払いといった人々とやり取りを交わします。そして、ついに彼はある品川宿に向かう客を見つけます。

この客は一見二人組に見えましたが、なんと一方が客のフリをして駕籠に乗り込むのです。駕籠屋たちはそれに気づかず、走り始めます。しかし、駕籠の重量が明らかに増していることに気づき、何かおかしいと感じます。やがて、その中の客が相撲の話から取っ組み合いを始め、騒動が繰り広げられると、その結果底が抜けてしまいます。

この騒ぎでようやく雲助たちは、中に二人いることに気づき、怒りを露わにします。しかし、客たちは「このまま駕籠の中から歩き続けるから許してくれ」と言い出します。これを受けて、雲助たちは渋々歩き始め、駕籠も一緒に進むことになります。

この光景を見ていた子供の一人が、父親に驚きと面白さを伝える場面があり、彼は「おとっつぁん、面白いよ。駕籠の中から足が4本出て、駕籠屋と合わせて8本ある」と言います。そうすると、父親は静かに「それが本当のクモ駕籠だ」と答えます。

雀駕籠

雀駕籠は、基本的には蜘蛛駕籠と同じストーリーラインを持つものの、少し異なるユーモアが展開されます。駕籠屋は、チュウという音を出す雀のように速く走ることから雀駕籠と名が付けられました。客が雀の泣き真似をして駕籠屋に速く走ってくれと依頼するところからストーリーが始まります。駕籠屋は最初にはそれに応じますが、客が更に調子に乗り、カラスやトンビの真似をさせるようになります。

最後に、客がウグイスの鳴き真似をしようと頼んだとき、駕籠屋は「ウグイスはまだカゴ慣れしてません」と返します。このように、雀駕籠もまた、独特のユーモアと機知に富んだ内容で、落語の楽しさを堪能させてくれます。これらの演目は、ただの笑いだけでなく、日本の文化やコミュニケーションの豊かさを感じる機会ともなっているのです。

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