蜻蛉型練習機

蜻蛉型練習機（とんぼがたれんしゅうき）

蜻蛉型練習機は、三菱内燃機が日本陸軍のために開発した航空機であり、その社内符号は「2MS1」です。この機体は陸軍がその当時運用していた己式一型練習機を基にして設計されていますが、エンジンはフランスのル・ローン社製から、アームストロング・シドレー モングースに変更されています。また、機体の設計も新たに行われ、特徴的な複葉機として仕上げられています。

機体と設計

蜻蛉型は単発の複葉機であり、機体の胴体と翼は木製の骨組みに羽布が張られた構造です。この構造は軽量でありながら強度があるため、安定した飛行を実現しています。また、降着装置は固定脚を採用していますが、双フロートに換装することも可能で、水上機としても運用できるのが特徴です。

1927年6月には試作機が完成し、名古屋製作所の飛行場で初飛行を行いました。機体の性能は良好であったものの、日本陸軍は当機を採用しないことを決定しました。これにより試作機は陸軍からの正式な運用を受けることはなかったものの、三菱の社用機として多様な用途で使用されることとなりました。具体的には、練習機としての役割だけでなく、研究や連絡目的にも活用されました。

性能諸元

蜻蛉型練習機は、以下のような性能を持っています：

• - 全長: 7.30メートル
• - 全幅: 9.20メートル
• - 全高: 3.08メートル
• - 主翼面積: 31.3平方メートル
• - 自重: 590キログラム
• - 全備重量: 850キログラム
• - エンジン: アームストロング・シドレー モングース 空冷星型5気筒（最大出力144馬力）
• - 最大速度: 148キロメートル/時
• - 実用上昇限度: 5,000メートル
• - 航続時間: 3時間
• - 乗員: 2名

このように、蜻蛉型練習機はその設計と性能特性から陸軍の航空教育や研究活動に貢献しましたが、軍の正式な運用には至らなかったことが、航空機開発の歴史における興味深い一幕と言えるでしょう。

参考文献

• - 野沢正著『日本航空機総集 三菱篇』出版協同社、1961年.
• - 松岡久光著『みつびし飛行機物語』アテネ書房、1993年.

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