蝦夷穴

蝦夷穴の概要



蝦夷穴（えぞあな）は、主に東北地方南部から関東地方、さらには中部地方に見られる横穴の名称です。この用語は、古墳時代から奈良時代にかけて遡る古墳の一部であり、しばしば横穴式石室や横穴墓と呼ばれています。特に「エゾ穴」とも表記されますが、実際にはアイヌ（蝦夷）によって作られたものではないという点が重要です。

名前の由来と歴史



「蝦夷」は古くは「エミシ」や「エビス」と呼ばれていましたが、現代の「エゾ」という名称は、主に蝦夷穴の分布地域でアイヌの姿が消えた後の平安時代後期に確立されたものです。つまり、この名称は次の世代によって付けられたものであり、古代の人々が使っていた言葉ではありません。蝦夷穴はエゾ穴と名付けられたため「エミシ穴」や「エビス穴」とは呼ばれません。

この名称がいつから使われるようになったのかは明確ではありませんが、江戸時代を通じて付けられたものと考えられています。また、遺跡の特性は他の古墳や横穴墓と比べても特段異質なわけではなく、蝦夷穴をエミシやエゾに結びつけることはできません。古墳や横穴墓に関する知識が失われた後世において推測で名付けられたものと推察されます。

蝦夷穴に関する考古学的見解



明治時代においては、考古学者の坪井正五郎が蝦夷穴を住居跡とする説を提唱しましたが、現在の一般的な見解はそれとは異なり、横穴墓であるという意見が強いようです。このことからも、蝦夷穴の本質についての理解は時代と共に変わってきたことがわかります。

蝦夷穴とその遺跡



蝦夷穴を名に持つ遺跡は全国に存在しますが、代表的な例としては以下の古墳や横穴墓が挙げられます。

また、地元で蝦夷穴と名付けられた遺跡は他にも多数存在します。20世紀の宮城県では、名取市を含む多くの地域において横穴墓群が蝦夷穴と呼ばれていました。具体的には以下のようなそれぞれの遺跡が存在します。

これらの遺跡は、蝦夷穴とされる古墳や横穴墓の一部でなるべく多く残されています。

まとめ



蝦夷穴は、古代の遺構であり、その名称に込められた歴史や文化には多くの探求が必要です。名称の起源や考古学的見解の変遷を辿ることで、私たちの理解を深める助けとなるでしょう。このような遺跡が現代においてどのように評価され、保存されていくのか注目が集まります。

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