愛宕山横穴墓群

愛宕山横穴墓群について

愛宕山横穴墓群（あたごやまよこあなぼぐん）は、古墳時代に属する数多くの横穴墓が宮城県仙台市太白区の愛宕山の中腹に位置する場所の名称です。これらの墓は、7世紀後半から8世紀初めにかけて形成され、紀元前の人々の埋葬方法や文化を示す貴重な遺跡とされています。

遺跡の概要

愛宕山は仙台平野の西にそびえる低い山で、広瀬川に沿った位置にあります。この山の北斜面と南斜面には、多数の横穴墓が点在し、それを総称して愛宕山横穴墓群と呼びます。また、南側には大年寺山もあり、そこにもいくつかの横穴が存在し、大年寺山横穴墓群として扱われています。この地域には、さらに二ツ沢横穴墓群や茂ヶ崎横穴墓群、宗禅寺横穴墓群なども存在し、これらはまとめて向山横穴墓群と称されています。

愛宕山横穴墓群における横穴の存在は、1938年に発見され、34基の墓が確認されました。しかし、その後の宅地造成や道路開削によって、多くが破壊され、現在では全体の数や位置は明らかではありません。1973年からの発掘調査で南斜面の墓28基が確認され、さらに一部には赤い壁画を施された装飾墓もあります。これらの横穴墓は、入り口から控えめな通路を通り、そこから狭い玄門を経て玄室に至る構造であり、玄室の形状は方形または台形の形がみられます。

装飾横穴古墳

特に注目されているのは愛宕山装飾横穴古墳で、この墓は土中に埋もれており、独特な壁画が施されています。羨道は長さ約2.5メートルで、幅は1.15メートルです。玄室はほぼ正方形で、壁の寸法は入り口から見ると、手前が1.8メートル、奥が1.9メートル、左右がそれぞれ1.8メートルと1.65メートル、そして高さは約1.4メートルあると推測されています。内部の壁には数多くの円形や十字形模様が赤色の顔料で描かれ、装飾墓としての価値が大いにあると考えられています。この古墳は、埋葬された人物が特に重要であった可能性を示唆しています。

発掘史

愛宕山の横穴は地元の人々によって古くから知られており、1912年に発行された地図にはその存在が記されています。特に1936年には、道路工事の際に多くの横穴とともに、遺骨や道具が発掘されましたが、その多くは散逸してしまいました。1937年には、清水東四郎が初めて詳細な調査を行い、34基の存在を報告しました。その後、戦争中には一部が防空壕として利用され、戦後には宅地造成に伴って多くが消失しました。

1973年に市がここに目を向け、南斜面での発掘が開始され、いくつかの遺物が見つかりました。1976年の工事中には、装飾横穴古墳の発見がありますが、発掘後には保存が難しいため、再び埋め戻されてしまいました。そして1991年には、更なる住宅建設を前にして発掘調査が行われ、多くの横穴が新たに発見されました。

愛宕山横穴墓群は、古代の人々の埋葬慣習や文化を知る鍵となる重要な遺跡であり、今後の調査と保存が望まれます。

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