蠣崎季広

蠣崎季広（かきざきすえひろ）

蠣崎季広は、永正4年（1507年）に生まれ、文禄4年（1595年）に没した戦国時代から安土桃山時代にかけての武将です。蝦夷地（現在の北海道）を支配した蠣崎氏の5代目当主として知られています。

生涯

永正4年（1507年）、4代当主・蠣崎義広の子として誕生しました。天文14年（1545年）に父・義広が死去すると家督を継ぎましたが、その際、従兄弟の蠣崎基広が不満を抱き謀反を起こしました。しかし、この反乱は季広の家臣である長門広益によって鎮圧されました。

父の時代からアイヌとの間で度々抗争が起きていましたが、季広は父の政策を転換し、天文18年（1549年）（または天文20年（1551年））にアイヌの首長である東地のチコモタインと西地のハシタインとの和睦に成功し、道南地方における蠣崎氏の支配権を確立しました。彼は、家臣団の編成やアイヌとの交易権の独占を通じて蠣崎氏の強化を図りました。この和睦には、前年に蝦夷地入りした安東舜季が深く関与し、主導したという説もあります。

しかし、当時の蠣崎氏はまだ安東氏の支配下にあり、季広は安東氏からの要請に応え、度々兵役の負担を強いられていました。そのため、季広は13人の娘たちを安東氏だけでなく、奥州の諸大名と婚姻させ、姻戚関係を築くことで、系譜上安東氏と対等の関係を築こうとしたとも考えられています。

天正11年（1583年）には、三男である慶広に家督を譲り隠居しました。松前藩史『新羅之記録』によると、慶広が豊臣秀吉の直臣となったことを季広は非常に喜び、「自分はこれまで檜山屋形（安東氏）に仕えてきたが、おまえは天下の将軍（原文ママ）の臣となった」と言い、息子を伏し拝んだと記されています。これにより、蠣崎氏は名実ともに独立大名となりました。この独立への下地を築いたのは、紛れもなく季広の功績と言えるでしょう。

文禄4年（1595年）に89歳で死去しました。

系譜

父：蠣崎義広（1479-1545）
母：不詳
正室：伝妙院 - 河野季通の娘
長男：蠣崎舜広（1539-1561）
三男：松前慶広（1548-1616）
生母不明の子女
長女：南条広継正室
次男：明石元広（1540-1562） - 明石季衡の養子
四男：蠣崎随良 - 法源寺住持
五男：蠣崎正広 （1557-1586） - 正広系蠣崎家初代
六男：蠣崎長広 - 定広、長広系蠣崎家初代
七男：蠣崎定広 - 信広、但馬守
八男：蠣崎包広 - 与三郎、典三郎、早世
九男：蠣崎吉広（?-1645） - 吉広系蠣崎家初代
十男：蠣崎仲広 （1561-1581） - 助五郎
十一男：蠣崎守広（1564-1635） - 忠広、広勝、守広系蠣崎家初代
十二男：蠣崎員広 - 景広、主水助、員広系蠣崎家初代
十三男：蠣崎貞広 - 右衛門大夫、兄：正広の養子
女子：下国師季正室
女子：喜庭季信室
四女：小平季遠室
女子：厚谷季貞室
女子：安東茂季正室
女子：村上忠儀室
女子：神浦季綱室
女子：下国重季室
女子：下国直季室
女子：佐藤季連室
女子：村上直儀室
十三女：新井田広貞室

主要家臣

小平季遠
長門広益
蠣崎基広
南条広継
下国師季
小林良道
厚谷季貞
岡部季村
* 小山興重

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