血の勲章

血の勲章（Blutorden）

血の勲章、またの名をブリート勲章や血盟勲章と呼ばれるこの徽章は、国家社会主義ドイツ労働者党（いわゆるナチ党）が授与した最も高い栄誉を示すメダルです。1923年11月9日に発生したミュンヘン一揆を記念して設立され、党の歴史において重要な位置を占めています。

制定の背景

この勲章は、ミュンヘン一揆に参加した者たちを称えるため、1934年3月15日に正式に制定されました。当初の名称は「1923年11月9日名誉章」でしたが、1938年5月30日に改名され「血の勲章」という名称になりました。名前の由来は、ミュンヘン一揆の際に用いられた「血染めの旗」に由来しています。1938年の改称に伴い、受章することができる対象者が広がり、ほぼ同じデザインのメダルが新たに発行されました。

デザインの特徴

血の勲章には1934年版（1型）と1938年版（2型）の2つのバージョンがあり、それぞれ若干のデザイン上の違いがあります。メダルの直径は40.5ミリメートルで、素材は銀であり、1934年版の重量は22.9グラム、1938年版は17.5グラムです。表面には花輪に乗った鷲が描かれ、「ミュンヘン 1923年‐1933年」という文字が右側に施されています。また、花輪の中には「11月9日」という日付が刻まれています。この日付はミュンヘン一揆の日を示し、年号はナチ党の権力掌握までの苦闘の時期を表しています。さらに、それぞれの版で鷲の尾の長さが異なるのも特徴の一つです。

メダルの裏面には、鉤十字が載ったフェルトヘルンハレ（オデオン広場における事件の現場）が浮き彫りにされており、上部には「AND IHR HABT DOCH GESIEGT（それでも貴方達は勝利した）」という言葉が刻印されています。フェルトヘルンハレの下部には銀の純度表示とシリアルナンバーが記されています。1型の純度表示は上部にあるのに対し、2型では逆になっています。1型の銀の純度は990に対し、2型は800です。

佩用のスタイル

血の勲章を佩用する際は、幅35ミリの綬を用います。これは国家色である黒、白、赤を基調としており、鉄十字章のリボンと似ていますが、黒の部分が少なく赤が多いデザインとなっているのが特徴です。この点は、血を意識したためだと言われています。佩用方法としては、制服の右胸ポケットに綬を巻き付け、そのボタンホールを使って固定します。普段は綬のみを略綬として使用し、胸ポケットがない制服の場合は二級鉄十字章の綬と同様に佩用されます。

主な受章者

この勲章を受賞した主な人物には、アドルフ・ヒトラー、ハインリヒ・ヒムラー、マックス・アマン、ヨーゼフ・ディートリヒなど、多くのナチ党幹部が含まれています。また、アントン・ドレクスラーはナチ党の創設者としても知られ、勲章を受ける功績を残しました。

最後に

血の勲章は、ナチ党の歴史と理念に深く結びついた象徴的なものであり、そのデザインと授与の背景には複雑な歴史的意味が込められています。このメダルは、ナチ党の栄光と同時に、彼らの暗い歴史をも反映したものと言えるでしょう。

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