血観音

『血観音』

『血観音』（けつかんのん、原題：血觀音、英題：The Bold, the Corrupt, and the Beautiful）は、2017年11月24日に台湾で公開されたサスペンス映画です。本作は楊雅喆による監督・脚本で、恵英紅、呉可熙、文淇が主要キャストとして出演しています。

この映画は、2017年の第54回金馬賞で最優秀映画賞を受賞しており、恵英紅と文淇もそれぞれ最優秀主演女優賞・最優秀助演女優賞を獲得しました。

概要

『血観音』は、台湾南部で骨董品店を運営する寡婦とその二人の娘が中心となる物語です。母娘は政治と財の世界で利益を得ようとする「ホワイトグローブ」としてさまざまな罪を犯していきます。監督の楊雅喆は、この映画の着想を、2007年にＡＩＤＳを患った小学生が学校から追放されたニュースを知ったことから生まれたと語っています。この事件を通じて、愛とは何かを探求しようとしたのです。

また、映画には台湾の有名な事件や社会問題からインスパイアを受けた出来事が多く盛り込まれており、観る者に深いメッセージを伝えます。

ストーリー

物語は1990年代の高雄県弥陀郷を舞台に展開します。主人公の棠佘月影は「棠府骨董店」を営む美しい貴婦人です。彼女は国共内戦から逃れ、台湾に移住した元将軍の妻であり、夫を亡くした後は二人の娘と共に生活をしています。棠夫人は毎日、真言宗の経を唱える信者で、彼女の店は上流社会の人々が集まる場所となっています。

ある日、棠夫人は大規模な政府都市計画「弥陀プロジェクト」の存在を知ります。彼女はこのプロジェクトから利益を得ようと、政治家と結託する道を選びます。特に立法院院長の妻である王夫人に、貴重な観音菩薩像を贈る場面が描かれ、観音像の破損が引き起こす緊張感が話の鍵となります。

「弥陀プロジェクト」が進む中、議員の林慶堂一家が何者かに殺害される事件が発生。この事件は世間に大きな波紋を呼び、政府による調査が始まると、内部での金銭の流用が明らかになっていきます。プロジェクトの本来の目的と反して利益を狙った行動が次々と露呈し、母娘の関係も深まる謀略の渦へと変わっていきます。

キャスト

映画には多彩なキャストが登場します。棠夫人を演じる恵英紅は、彼女のキャラクターの裏には、過去のホステスとしての経験があるとも見なされています。長女の棠寧（呉可熙）や次女の棠真（文淇）もそれぞれ母の影響を受けた複雑な人物背景を持っています。さらには、有力政治家やその家族がこの陰謀に巻き込まれていく様子が描かれ、台湾の政治的腐敗を象徴するようなキャラクターが揃っています。

興行

映画は台湾で公開から3日以内にNT$915万元を稼ぎ出し、2週間で累計NT$4329万元、最終成績はNT$8861万元に達しました。また、日本では第13回大阪アジアン映画祭で上映されるなど、国際的にも注目を集めました。

『血観音』は、愛、裏切り、贖罪といったテーマを通じて、観客に強いメッセージを届ける作品です。

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