行政情報システム研究所
行政情報システム研究所は、一般社団法人として日本の行政分野における情報化やデジタル・ガバメントの推進を使命とする組織です。略称はAIS。
1965年の設立以来、行政機関や民間企業と密接に協力しながら、この分野の発展に寄与してきました。その活動拠点は東京都千代田区に置かれています。
研究所の歴史は、1965年に「社団法人行政事務機械化研究協会」として始まりました。設立当初から機関誌「行政＆ADP」を発行し、情報化の重要性を啓発していました。1970年には現在の名称である「行政情報システム研究所」へと改称し、活動の幅を広げました。
1990年代には、行政の情報化や電子政府の実現に向けた重要な提言を相次いで公表しました（1993年、1994年）。1997年には政府ネットワークの基盤となる霞が関WANの運用を開始するなど、具体的なシステム運用にも携わるようになりました。
2000年代に入ると、電子政府の総合窓口システムe-Govや政府認証基盤GPKIの監理・運用、そして霞が関WANとLGWAN（総合行政ネットワーク）の相互接続運用など、電子行政の核心部分を担う役割が増えました。機関誌は2007年に「行政＆情報システム」と名称を改めて継続発行。そして2013年には一般社団法人へと組織形態を変更し、同時に霞が関WANの運用終了に伴い、政府共通ネットワークの運用を開始するなど、時代と共にその役割を進化させています。
行政情報システム研究所の活動は、主に三つの柱で構成されています。
行政の業務効率化やサービス向上、そして行政情報システムの高度な活用に資する調査研究を幅広く実施し、その成果を広く一般に公開しています。テクノロジーの活用方針、ITガバナンスの国際比較、ITマネジメント手法の紹介など、技術的側面から組織論に至るまで多岐にわたるテーマを掘り下げています。近年では、人工知能（AI）やRPAの行政への応用、データマネジメント、サービスデザイン、デザイン思考といった先端技術や手法に関する研究、あるいは高齢化社会における電子政府の役割、海外の電子政府政策なども主要なテーマとして取り上げられてきました。
また、国や地方自治体などの公的機関からの委託を受け、特定の課題に関する調査研究も実施しています。これには、行政ICT利用状況の基本調査、業務最適化のためのモデリング、EA（エンタープライズアーキテクチャ）の活用事例調査、官民データ活用プラットフォームに関する事業、基礎自治体におけるAI・RPA活用調査などが含まれます。
行政情報化やデジタル・ガバメントに関する専門的な知見を広く社会に共有するための活動を行っています。代表的なものとして、隔月発行の機関誌『行政＆情報システム』があります。この機関誌では、国内外の政策動向、具体的な取り組み事例、最新の技術トレンドなどが解説されており、国の行政機関や公共団体、企業、大学などで貴重な情報源として活用されています。さらに、デジタル・ガバメントの推進を目的としたセミナーやシンポジウムを積極的に開催。有識者による講演やパネルディスカッションを通じて、関係者間の議論を促進し、理解を深める場を提供しています。これまでの開催実績には、地方自治情報化推進フェア、電子政府オンライン申請体験フェア、大学との共催による仮想政府セミナー、CIO補佐官講座、デジタル・ガバメント講座などがあります。ウェブサイトを通じた情報発信も重要な普及啓発手段の一つです。
日本の行政情報化を支える重要なITインフラの中核的な基盤システムの監理・運用を担っています。具体的には、総務省が整備・運用する二つの基盤に深く関与しています。
一つは政府認証基盤（GPKI）です。これは、国民や企業がインターネット経由で行政手続きを行う際に使用される電子証明書の発行や、その正当性を確認するための仕組みであり、研究所がその監理・運用を担うことで、オンライン手続きの信頼性を確保しています。
もう一つは政府共通ネットワークです。これは、全府省や独立行政法人、国会、日本銀行などを結び、さらに府省共通システムやLGWAN（地方自治体ネットワーク）とも相互接続された、政府専用のセキュアなネットワーク基盤であり、研究所がその監理・運用を通じて、行政機関間の情報連携やシステム利用を支えています。
研究所には、行政分野の要職を経験した人物などが在籍しています。例えば、総務省の要職を務めた田中順一氏（理事長）、社会保険庁長官を務めた坂野泰治氏（理事長）などが歴代の理事長に名を連ねており、その専門性と経験が研究所の活動に貢献しています。また、大学で教鞭をとる研究者も在籍しています（例：松岡清志氏 - 主任研究員、静岡県立大学経営情報学部講師）。
一般社団法人行政情報システム研究所は、設立から半世紀以上にわたり、行政の情報化という一貫したテーマに取り組み、日本のデジタル・ガバメント推進において調査研究、人材育成、そして基盤システムの運用という多角的な側面から重要な役割を果たし続けています。
1965年の設立以来、行政機関や民間企業と密接に協力しながら、この分野の発展に寄与してきました。その活動拠点は東京都千代田区に置かれています。
沿革
研究所の歴史は、1965年に「社団法人行政事務機械化研究協会」として始まりました。設立当初から機関誌「行政＆ADP」を発行し、情報化の重要性を啓発していました。1970年には現在の名称である「行政情報システム研究所」へと改称し、活動の幅を広げました。
1990年代には、行政の情報化や電子政府の実現に向けた重要な提言を相次いで公表しました（1993年、1994年）。1997年には政府ネットワークの基盤となる霞が関WANの運用を開始するなど、具体的なシステム運用にも携わるようになりました。
2000年代に入ると、電子政府の総合窓口システムe-Govや政府認証基盤GPKIの監理・運用、そして霞が関WANとLGWAN（総合行政ネットワーク）の相互接続運用など、電子行政の核心部分を担う役割が増えました。機関誌は2007年に「行政＆情報システム」と名称を改めて継続発行。そして2013年には一般社団法人へと組織形態を変更し、同時に霞が関WANの運用終了に伴い、政府共通ネットワークの運用を開始するなど、時代と共にその役割を進化させています。
事業内容
行政情報システム研究所の活動は、主に三つの柱で構成されています。
調査研究事業
行政の業務効率化やサービス向上、そして行政情報システムの高度な活用に資する調査研究を幅広く実施し、その成果を広く一般に公開しています。テクノロジーの活用方針、ITガバナンスの国際比較、ITマネジメント手法の紹介など、技術的側面から組織論に至るまで多岐にわたるテーマを掘り下げています。近年では、人工知能（AI）やRPAの行政への応用、データマネジメント、サービスデザイン、デザイン思考といった先端技術や手法に関する研究、あるいは高齢化社会における電子政府の役割、海外の電子政府政策なども主要なテーマとして取り上げられてきました。
また、国や地方自治体などの公的機関からの委託を受け、特定の課題に関する調査研究も実施しています。これには、行政ICT利用状況の基本調査、業務最適化のためのモデリング、EA（エンタープライズアーキテクチャ）の活用事例調査、官民データ活用プラットフォームに関する事業、基礎自治体におけるAI・RPA活用調査などが含まれます。
普及啓発事業
行政情報化やデジタル・ガバメントに関する専門的な知見を広く社会に共有するための活動を行っています。代表的なものとして、隔月発行の機関誌『行政＆情報システム』があります。この機関誌では、国内外の政策動向、具体的な取り組み事例、最新の技術トレンドなどが解説されており、国の行政機関や公共団体、企業、大学などで貴重な情報源として活用されています。さらに、デジタル・ガバメントの推進を目的としたセミナーやシンポジウムを積極的に開催。有識者による講演やパネルディスカッションを通じて、関係者間の議論を促進し、理解を深める場を提供しています。これまでの開催実績には、地方自治情報化推進フェア、電子政府オンライン申請体験フェア、大学との共催による仮想政府セミナー、CIO補佐官講座、デジタル・ガバメント講座などがあります。ウェブサイトを通じた情報発信も重要な普及啓発手段の一つです。
システム関連事業
日本の行政情報化を支える重要なITインフラの中核的な基盤システムの監理・運用を担っています。具体的には、総務省が整備・運用する二つの基盤に深く関与しています。
一つは政府認証基盤（GPKI）です。これは、国民や企業がインターネット経由で行政手続きを行う際に使用される電子証明書の発行や、その正当性を確認するための仕組みであり、研究所がその監理・運用を担うことで、オンライン手続きの信頼性を確保しています。
もう一つは政府共通ネットワークです。これは、全府省や独立行政法人、国会、日本銀行などを結び、さらに府省共通システムやLGWAN（地方自治体ネットワーク）とも相互接続された、政府専用のセキュアなネットワーク基盤であり、研究所がその監理・運用を通じて、行政機関間の情報連携やシステム利用を支えています。
在籍した人物
研究所には、行政分野の要職を経験した人物などが在籍しています。例えば、総務省の要職を務めた田中順一氏（理事長）、社会保険庁長官を務めた坂野泰治氏（理事長）などが歴代の理事長に名を連ねており、その専門性と経験が研究所の活動に貢献しています。また、大学で教鞭をとる研究者も在籍しています（例：松岡清志氏 - 主任研究員、静岡県立大学経営情報学部講師）。
一般社団法人行政情報システム研究所は、設立から半世紀以上にわたり、行政の情報化という一貫したテーマに取り組み、日本のデジタル・ガバメント推進において調査研究、人材育成、そして基盤システムの運用という多角的な側面から重要な役割を果たし続けています。
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